日本文学

もの言えば唇寒し秋の風 意味(現代語訳)

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もの言えば唇寒し秋の風 松尾芭蕉

〈原文〉

もの言えば唇寒し秋の風

〈現代語訳〉

秋風の吹く季節には、口を開くと、冷たい風が唇に触れ、寒々しい気分になる。

概要と解説

作者の松尾芭蕉は、『奥の細道』で知られる江戸時代前期の俳諧師です。

言葉遊びだった俳諧を芸術の域まで高めた人物で、旅を通じて自然と人生を詠み、多くの名句を残しています。

この「もの言えば唇寒し秋の風」という句は、現代語訳だと、「秋風の吹く季節には、口を開くと、冷たい風が唇に触れ 寒々しい気分になる」となり、二つの意味として捉えることができます。

一つは、その言葉のまま、口を開くと唇に冷たい風が触れるから、あまり喋らない、という寒い季節の静寂の情景を描いた句として読めるかもしれません。

これはこれで素朴な情緒があります。

ただ、一般的には、「人の短所を言ったあとは、後味が悪く、寂しい気持ちがする」という戒めの句と解釈され、ここから、転じて、「口は災いのもと」のような、余計なことを言うと災いに繋がる、といった訓戒としても捉えられています。

もの言えば、つまり、他人の短所をあげつらうような、悪口のようなことを言えば、結局自分が寒々しい気分になる。

そのとき、その一瞬はすっきりするかもしれません。でも、結果としてあとで後悔したり、虚しさに襲われることもあります。

また、その言葉が一人歩きし、信頼を失ったり、災いとして返ってくるかもしれません。

だからこそ、冷たい風の体感とともに、言葉には慎重に、と背筋を伸ばすような気持ちにさせてくれる句です。

ちなみに、もともとは、「人のたんをいふ事なかれ己がちょうをとく事なかれ」という言葉に添えられたもので、これは現代語訳で、「他人の短所をとやかく批判するな、自分の長所を自慢するな」となります。