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童謡『桃太郎』歌詞の意味─怖いと言われる五番とは 全文と解説

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童謡『桃太郎』歌詞の意味─怖いと言われる五番とは  全文と解説

〈原文〉

桃太郎さん 桃太郎さん お腰につけた 黍団子きびだんご 一つわたしに 下さいな

やりましょう やりましょう これから鬼の 征伐せいばつに ついて行くなら やりましょう

行きましょう 行きましょう あなたについて 何処までも 家来になって 行きましょう

そりゃ進め そりゃ進め 一度に攻めて 攻めやぶり つぶしてしまえ 鬼が島

おもしろい おもしろい のこらず鬼を 攻めふせて ぶんどりものを えんやらや

ばんばんざい ばんばんざい お伴の犬や 猿 雉は 勇んでくるまを えんやらや

概要と解説

誰もが知っている『桃太郎』。ご存じ、桃から生まれた桃太郎が、きびだんごを持って動物たちを仲間にし、鬼退治をする、というお話です。

昔話としての桃太郎は広く知られていますが、この文部省唱歌の『桃太郎』も、特に冒頭の一番は聴いたことがあるという人も多いかもしれません。

ちょっと怖いフレーズも

まず、その一番ですが、動物たちが、桃太郎に「お腰につけたきびだんご」がほしいとお願いする場面から始まります。

それに対して、二番では、桃太郎が、鬼の征伐に一緒についてきてくれるならきびだんごをあげるよと答えます。

三番で、動物たちが、桃太郎の家来になってどこまでもついていくよ、と言います。

そして、後半、四番からぐっと戦いのシーンになり、歌詞を読むとちょっと怖いフレーズも出てきます。

鬼ヶ島に進軍していった桃太郎たちは、「つぶしてしまえ鬼ヶ島」と意気込みます。

また、五番では、鬼退治について「おもしろいおもしろい」と言いながら、「ぶんどりもの(武器や金品など戦利品)」に喜んでいます。



そんなこともあるのかもしれませんが、それにしても、なかなかストレートな表現です。

最後の六番では、勝ったことに対してばんばんざいと喜びながら、犬や猿やキジとともに帰っていきます(五番、六番の「えんやらや」は、 複数の人が力を合わせて重いものを運ぶ際に出す掛け声に由来する言葉です)。

なぜ鬼が退治されなければいけないのかは分かりませんが、とてもシンプルな勧善懲悪のストーリーになっています。

鬼は何をしたのか

そもそも、どんな悪いことをすれば、これほど一方的に鬼は退治されることになるのか。

もし何もしていないとしたら、だいぶ怖いことをしていると言える桃太郎ですが、実際、鬼が何をしたかは定かではないようです。

実は「鬼が悪いことをしたから、その鬼を桃太郎が退治しに行った」という設定は明治時代以降に付け足されたもので、それ以前に出版された『桃太郎』ではなんと「桃太郎は、宝物欲しさに鬼ヶ島へ行った」ということになっていたのです。

つまり鬼のはたらいた悪事の内容どころか「そもそも鬼は、『鬼だから悪い』」と一方的に決めつけられ、そこに理由など存在しなかったということです。

出典 : 実はヴィランは桃太郎!?昔話「桃太郎」の鬼って何をやらかして退治されたのか?驚くべき新解釈も…

こうやって見ると、桃太郎はもはや強盗やら盗人ということになります。

それではあんまりだということから、「鬼はこんな悪いことをしていた」と後付けで理由や解釈が考えられることもあるようです。

なぜ犬猿キジが仲間なのか

もう一つの疑問として桃太郎のお供といえば犬・猿・キジの三匹ですが、なぜこの三種類なのかというものがあります。

複数の説がありますが、その一つが、陰陽道との関連です。

十二支を時計回りに並べると、鬼門(北東)は「丑寅うしとらの方角」にあり、その反対の方角、つまり南西の方角の動物が、申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)ということから、鬼とは反対の方角の動物たちが選ばれた、という説があります。

猿・雉(鳥)・犬という三匹は、鬼の来る方角と対となる方角の守り神として選ばれた、という説があります。

皆さんはなぜ桃太郎のお供がイヌ・サル・キジなのかご存じですか?

これは十二支の方角を併せた陰陽道の考え方が関わっています。虎柄のパンツと牛の角が鬼のイメージになるのは、北東=丑と寅の間が鬼が出入りする方角だから。

そして鬼を退治するお供の動物がイヌ・サル・キジなのは、鬼門と反対側の方角が、南西=申・酉・戌だからと言われています。

出典 : 桃太郎のお供はなぜイヌサルキジ?|岐阜女子大学

なんだか不思議な組み合わせの仲間たちですが、その背景には、陰陽道という古くからの思想があったのかもしれません。

桃太郎のモデルとなった場所

桃太郎の舞台やモデルとなった場所については、全国にいくつかの説があります。

最もよく知られているのは岡山県です。きびだんごの発祥地であり、吉備津神社には桃太郎のモデルとなったとされる吉備津彦命きびつひこのみことが祀られています。岡山では桃太郎は郷土の英雄として今も親しまれており、岡山駅前には桃太郎の銅像が立っています。

一方で、愛知県犬山市にも桃太郎神社があり、こちらも桃太郎伝説の地として知られています。全国各地に桃太郎ゆかりの地が存在するのは、それだけこの物語が日本人に深く根付いているということなのでしょう。

ちなみに、桃太郎、というおとぎ話は、一体いつ頃できたのでしょうか。

桃太郎というおとぎ話の成立年代は、正確には分かっていません。

ただ、口承文学としての原型の発祥は、室町時代末期から江戸時代初期頃とされます。

その後、江戸時代の草双紙の本や黄表紙版の『桃太郎』『桃太郎昔話』などの出版によって桃太郎の話は広まっていきます。

また、「桃から生まれた桃太郎」という冒頭の設定は、19世紀初頭の頃から見られた型で、その前は、「桃を食べて若返った夫婦が出産する」という型が主流だったようです。



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