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言葉の意味・由来

あえかとは

あえかとは

普段日常で耳にすることはありませんが、日本語の古い言葉で、「あえか」という表現があります。

古典などで目にする言葉で、あえかとは、「儚げで弱々しく、美しい」といった意味になります。その他、辞書では、次のような意味合いとして説明されています。

①触れれば落ちるようなさま。危なっかしい様子。

②容姿や気持などがかよわく、なよなよとしたさま。きゃしゃであるさま。ふつう若い女性に関して用いられ、上品で美しいという感じを伴って用いられることが多い。

③ 自然の景物や夢、希望などのはかなげで美しいさま。

出典 : あえかとは|コトバンク

こういった意味を見ると、なんとなく「あえか」のイメージがつかめるでしょうか。

儚げで弱々しく、それゆえに美しさも感じられるような、そんな存在を、「あえか」と表現しています。「あえかな」や「あえかに」といった形でも用いられ、用例としては、「あえかに匂う桜花」といった使い方が考えられます。

あえかという表現は、平安時代にはよく使われていた古語だったものの、中世以降はあまり使われなくなったようです。

しかし、そんな古い言葉だった「あえか」を、近代に入って新しく蘇らせたのが、明治時代の歌人である与謝野晶子らです。

もともと古い言葉としてほとんど使われることがなくなっており、また若い女性に使っていたあえかを、与謝野晶子らが、自然の景物や光、音、声、夢や希望など幅広い対象に対して使うようになり、③の意味が広まっていったようです。

与謝野晶子の「あえか」を使った短歌として、「冬枯の木立あえかになまめかしうしろに朝の歩み寄る時」があります。

冬の枯れた林の寂しさと、その儚げで優雅な様、そして、背後で立ち上がってくる朝の光が調和した美しさを詠んだ短歌でしょうか。

こんな風に、「あえか」とは、かよわく、ともすれば危うさもあるような弱々しさや、儚さ、その美しさといった面を表現する際に使われる言葉です。

あえかの由来としては、「花や木の実などが落ちる、こぼれ落ちる」といった意味の古語の「あゆ」ではないか、という説があります。こちらも古文に出てくる表現で、漢字で書くと「落ゆ」になります。

もし「落ゆ」が由来であるならば、「あえか」というのも、漢字で書くと「落」という字を使って「落えか」となるのかもしれませんが、そういった表記は見たことがありませんし、ひらがなで「あえか」とするほうが、言葉の雰囲気としても合っているのではないかと思います。

ちなみに、「あえやか」という言葉もネットで少し見かけましたが、そういった言葉はなく、もしかしたら、「華やかで美しく、なまめかしい」という意味の「あでやか」と混ざって捉えているのかもしれません。

以上、「あえか」の意味でした。