〈景品表示法に基づく表記〉当サイトは、記事内に広告を含んでいます。

日本文化

坂口恭平のおすすめの湯治場

坂口恭平のおすすめの湯治場

躁鬱と共存しながら、画家であり芸術家として、繊細で美しいパステル画の他にも、さまざまな表現活動を行なっている坂口恭平さんが、最近注目しているのが「湯治とうじ」です。

坂口恭平の絵坂口恭平の絵 坂口恭平さんは、一風変わった現代アーティストで、生きていることそのものが、丸ごと作品のような芸術家です。 熊本県で...

湯治とは、温泉宿などに一週間以上宿泊し、長期滞在のもとで温泉に入ったり飲泉したりしながら病の治療や療養を行うことを指し、全国各地に湯治場があります。

湯治の歴史は古く、奈良時代からあったようですが、その時代は一部の権力者に限られ、一般に普及したのは江戸時代の頃だと言われています。いずれにせよ、湯治は、日本の文化として深く根付いてきたものの一つと言えるでしょう。

温泉地は、現在では一種の観光地としてとらえられることが多いですが、もともとは湯治をする場所でした。湯治とは、温泉に入ることを通じて病気の治療や健康の回復を図ることです。時代や個々の温泉によって差がありますが、湯治を行う期間や入浴作法などはおおむね決まっていました。

たとえば、中世にはすでに7日間を一廻りと数えて最小単位とし、少なくとも三廻り(21日間)は湯治を行うべきであると認識されていました。 
湯治場としての温泉は、古代の歴史書や地誌に登場するほどに古く、中世から近世を経て、さまざまな形で温泉文化を開花させてきました。

出典 : 湯治場としての温泉|国立国会図書館

湯治の期間は、1週間を一回りとし、全体では、少なくとも3週間は必要と考えられていたようです。

温泉の効能による体調面のケアだけでなく、自然の豊かな環境でゆったり体を温めてのんびりすることは、精神面においても効果が期待され、坂口恭平さんも、精神面における湯治の重要性について発信しています。

鬱というものが、決して無理やり押さえつけるべき悪ではなく、必要なもの、必要な空白の時間として捉え直しているという点が、坂口恭平さんの考え方であり、湯治もまた、その休息の時間に似ている、と指摘します。

坂口さんは、湯治の重要性を発信するだけでなく、自分で湯治場を巡りながら、湯治の探究の旅を本にしようと考えたり、実際に湯治場を作るといった計画なども立てているようです。

湯治場巡りをしながら、坂口さんが、現時点で日本一と断言しているおすすめの湯治場として、岡山県の湯郷鷺温泉の療養湯を挙げています。温泉の読み方は、「ゆのごうさぎ」と言います。

この場所は、精神面の安定に繋がり、根源的だと絶賛しています。

また、岩手県も湯治場のメッカとして素晴らしいということで、湯治場研究は、地元の熊本県と、この岩手県を中心に行っていきたいそうです。

温泉というのは、その効能だけでなく、温まること、それからたとえば自然の恵みをいただく食事であったり、喧騒から離れた静けさであったりと、色々な面で心身を和らげることに繋がり、これが長期にわたる湯治となれば、確かに相当の効果も期待されるでしょうし、現代社会においてもっとも欠けている部分を補ってくれるものなのかもしれません。

そう考えると、今後若者たちのあいだでも、昔ながらの湯治が(あるいは現代化されたおしゃれな湯治場やスタイルも現れるなどして)、当たり前のように行われる文化として戻ってくる時代も訪れるかもしれません。

ちなみに、温泉や湯治場を選ぶ際に、重視する点はそれぞれに違いがあるでしょうが、たとえば、“源泉掛け流し”という記載があっても、定義が曖昧のために、実際には様々な形態があります。そのため、より源泉に近いものを「純温泉=オーガニックな温泉」と名付け、こういった温泉の情報を集めたサイト「純温泉協会」もあり、天然のままの温泉を重視したいという方には参考になります。