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言葉の意味・由来

荷物の「天地無用」とは

荷物の「天地無用」とは

荷物の箱を見ると、「天地無用」という言葉のシールが貼ってあることがあります。

初めて見ると、天地無用って一体なんだ、と疑問に思うかもしれません。意味が分かりにくいと感じる、あるいは、そもそも気づかなかった、という人もいるのではないでしょうか。

この「天地無用」とは、荷物の取り扱いに関する運送業界の専門用語で、「荷物の上下を逆さまにしてはいけない」という意味を持ちます。

それぞれ見ていくと、「天」は荷物の「上部」、「地」は「下部」を指し、「無用」は「してはならない」という意味です。

天と地、すなわち、荷物の上下の向きを変えてはいけない、ということです。

もともとは、「天地入替無用」や「天地顛倒てんとう無用」という語が使われ、その省略として天地無用という言葉が使われているそうです。

一般的に、破損の恐れがあったり、上下の向きが大事な荷物など、上下に関する繊細な取り扱いが必要なものについて、天地無用という表記がつけられます。

ただ、天地無用の意味自体が幅広く浸透していなかったり、「無用」の漢字のイメージからか、「上下を別に気にしなくてもいい」といった逆の意味で捉えている人も少なくないようです。

平成25年度の調査では、意味を正しく理解している人は、5割ちょっと、という結果が出ています。

本来の意味である「上下を逆にしてはいけない」と答えた人が5割台半ばであったのに対し,本来の意味ではない「上下を気にしないでよい」と答えた人が3割弱,また,「分からない」という人が1割弱という結果でした。

出典 : 文化庁  「天地無用」の荷物は,どう扱うか。

知らないだけならまだしも、逆の意味で捉えている人も少なくない、というのは、トラブルのもとにもなりそうです。

そのため、補足説明として、「この面を上に」や「逆さま厳禁」などが追記されているケースもあります。

確かに、「逆さま厳禁」というほうが、一目で分かりやすく理解できる利点はあるでしょう。

この天地無用シールや、割れ物注意のシールは、普通にネット通販や100均などでも販売していますし、運送会社などで配達にあたって無料でもらえることもできます。

ただ、意味の浸透度合いも考えると、トラブル回避のためにも、あまりシールの効果に期待しすぎずに、梱包もしっかりしておいたほうがいいのかもしれません。

以上、荷物の箱についた「天地無用」の意味でした。