雑学

手紙の「拝啓」と「かしこ」

手紙の「拝啓」と「かしこ」

組み合わせ

スマホの浸透もあり、メールやSNSなどがコミュニケーションの主流となり、いっそう古風となった手紙。

しかし、デジタル社会になればなるほど、直筆の手紙の温もりや想いもより嬉しいものとなるのではないでしょうか。

手紙には、形式やマナー、書き方のようなものがあり、冒頭で使われる言葉を頭語とうごと言い、頭語に対応し、結びに使われる言葉を結語けつごと言います。

手紙は、一般的に頭語で始まり、結語で締められる形が基本で、また、頭語と結語には、ある程度決まった組み合わせがあります。

普通の手紙の場合の代表的な頭語としては、「拝啓はいけい」「拝呈はいてい」「啓上けいじょう」「一筆申し上げます(主に差出人が女性の場合)」があり、一方、結語としては、「敬具けいぐ」「敬白けいはく」「拝具はいぐ」「かしこ(主に差出人が女性の場合)」があります。

頭語

  • 拝啓
  • 拝呈
  • 啓上
  • 一筆申し上げます(主に差出人が女性の場合)

結語

  • 敬具
  • 敬白
  • 拝具
  • かしこ(主に差出人が女性の場合)

もっともよく使われる組み合わせとしては、「拝啓」と「敬具」がありますが、一般的な手紙の場合、上記のなかであれば、頭語と結語の組み合わせは「自由」です。

ただし、ビジネスシーンで使う場合、「かしこ」に関しては女性らしさが強調されるので避けたほうが無難で、その場合は、女性でも「拝啓」と「敬具」で差し支えありません。

意味

それでは、頭語の表現に関し、「拝啓」「拝呈」「啓上」「一筆申し上げます」の一つ一つの意味を紹介したいと思います。

①拝啓とは、手紙の冒頭に使われる言葉で、「謹んで申し上げます」という意味です。「拝啓」の「拝」は、おじぎしておがむことで、そこから「相手を尊敬する」という意味になり、「啓」とは「口を開く」「述べる」ことを指します。拝啓は、昔は結語として用いられることもあったようですが、明治中期頃に頭語として定着したと考えられています。

②拝呈とは、「物をつつしんで贈ること、品物を差し上げること」「手紙の書き初めに、相手に敬意を表して用いる言葉」のことです。

③啓上とは、手紙に使われる言葉で、「ものを言うことを、言う相手を敬っていう語」「申し上げること」を意味します。

④一筆申し上げます、という頭語は、文字通りの意味で、主に女性が手紙の冒頭に書く言葉です。

次に、結語の各表現「敬具」「敬白」「拝具」「かしこ」の意味に移ります。

①敬具とは、「つつしんで申しあげる」の意味で、手紙の最後に添える言葉です。「具」とは、「そなえる」という意味で、「物をそなえる」だけでなく、「言葉をそなえる」という意味も含みます。基本的には、拝啓と敬具の組み合わせとなります。敬具が最後に添えられ、拝啓と結びつくようになったのは、大正時代頃からと考えられています。

②敬白とは、「うやまって申し上げること、つつしんで申し上げること」の意味で、敬具と同義です。

③拝具とは、手紙の最後に記し、先方に敬意を表わす言葉で、古くは手紙の冒頭に使われることもあったようです。

④かしことは、手紙の結語で、主に女性が差出人の際に使われる言葉です。手紙に使う場合は、ひらがなで書きます。あえて漢字で表すと、「賢い」の「賢」の他、「恐」や「畏」の漢字でも「かしこ」と読み、もともと「かしこし」という「恐れ多い」や「素晴らしい」という意味の古語に由来します。

かしこが手紙で使われる理由としては、「恐れ多いことを申し上げ、これにて失礼します」といったニュアンスがあります。

現代では、かしこは主に女性が使いますが、古くは男女ともに用いていたそうです。

手紙のかしこと男性手紙のかしこと男性 一般的な手紙を送る際には、頭語で始まり、結語で締める、という形式があります。 代表的な頭語としては、「拝啓は...

また、通常、頭語と結語の組み合わせで用いられますが、かしこを使う場合は、頭語なしで末尾にかしこだけで使っても問題ありません。

どんな相手の手紙でもかしこは使われ、万能の結語となっています(前述の通り、ビジネスシーンでは控えたほうが無難です)。

結語にかしこを使う場合、王道の組み合わせとしては、「拝啓」と「かしこ」、あるいは、女性の柔らかさを出したい場合、「一筆申し上げます」と「かしこ」がよいでしょう。

位置

拝啓やかしこなど、頭語や結語の位置は、主に手紙の「冒頭」と、手紙の文章の「最後」です。

縦書きの手紙の場合の頭語の位置は、以下の通りで、頭の一マスは空けません。次の行から書いても構いませんし、拝啓(頭語)の下に、一文字程度空けて文章を書き出しても問題ありません。

画像 : 手紙の書き方

画像 : 日本郵便「手紙の基本形式」

一方、結語の位置は、手紙の文章の最後で、その後に、日付や自分の署名、宛名を添えます。

横書きの場合も、基本的には同じ位置となります。

冒頭に「頭語(拝啓など)」を書き、手紙の内容の末尾(右下)に「結語(敬具やかしこなど)」を添え、その後、日付、自署、宛名を書きます。

画像 : 手紙の基本形式|年賀状、暑中見舞いドットコム

ちなみに、相手が目上の人やお客様など丁寧な手紙の場合は、頭語に「謹啓きんけい」「謹呈きんてい」「恭啓きょうけい」「謹んで申し上げます(主に差出人が女性の場合)を、結語に「謹言きんげん」「謹白きんぱく」「敬白けいはく」「かしこ(主に差出人が女性の場合)」を使用します。

また、年賀状や寒中見舞い、暑中見舞いや残暑見舞いといった季節の挨拶の手紙、また、弔事の手紙や詫び状、抗議文には、頭語や結語は用いません。

ただし、お悔やみ状に関しては、結語として、「合掌」という言葉を添える場合もあります。

切手の貼り方(つばor水)と貼る位置切手の貼り方(つばor水)と貼る位置 手紙や封筒を送る際に使用する「切手」。この切手を貼るとき、どんな貼り方で貼っているでしょうか。 ...