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季節

金木犀〜咲く時期、二度咲き、北海道や青森では咲かない理由〜

金木犀〜咲く時期、二度咲き、北海道や青森では咲かない理由〜

金木犀とは

秋の道を歩いていると、ふっと香る花の匂い。小さなオレンジ色の花が特徴の金木犀の香りです。こんな風に金木犀の花が、甘い香りを漂わせて咲くと、本格的な秋の到来を告げるようで気分もちょっと高まります。

金木犀の咲く時期は9月中旬から10月頃で、秋の訪れを感じさせる風物詩として有名です。

ツイッター上でも、金木犀の香りがすると、多くの人が、秋の到来を祝うようにその喜びを呟いています。

金木犀は、一面花畑というより、誰かのお家の庭や公園などに何気なく植わっていて、道を歩いているとふいに香ってくる、という出会いが似合っているのではないでしょうか。

そのため、あまり秋のシーズンになったからと言って金木犀の名所に人が集まり、花見をするという雰囲気の花ではなく、日常にそっと寄り添っている、という印象があります。

金木犀の咲く時期は、先ほども触れたように9月中旬から10月頃で、開花している期間は1週間ほどと短く、それゆえに儚さも感じさせてくれる花です。

金木犀の原産地は中国南部で、江戸時代に日本に伝わってきたと考えられています。

金木犀の花言葉は、「謙虚、謙遜」「気高い人」「真実」「陶酔」「初恋」などがあります。

金木犀金木犀の花

漢字で書く「木犀」という字は、樹皮が動物のサイの肌に似ていることに由来し、木犀という言葉自体中国から伝わり、中国ではモクセイ属の樹木全般を意味するそうです。その木犀の花が金色を思わせることから、金木犀と呼ばれています。ただし、中国では木犀よりも桂花けいかという呼び名が一般的とのこと。

和名のキンモクセイは、ギンモクセイO. fragrans Lour. var. fragransの花が白であることに対し、橙色の花を金に例えたことから名付けられたそうです。

また、樹皮の様子が犀(サイ)の皮膚に似ている事と、金色の花を咲かせることから金木犀となったとも言われています。中国ではギンモクセイを桂花といい、性味は辛温、痰を除き、瘀を散らすとされています。

属名の学名「Osmanthus(オスマンサス)」は、ギリシア語の「osme(香り)」と「anthos(花)」が語源です。

出典 : 金木犀|日本薬学会

金木犀は、英語で言うと、fragrant oliveです。fragrant oliveとは、「良い香りのオリーブ」という意味です。

他に英語では、osmanthusという表記を目にすることもありますが、これは学名であり、一般的にはfragrant oliveのほうを使います。

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金木犀の二度咲き

ところで、金木犀は、基本的に年一度しか咲かない花だと思っていたのですが、昨年に続き、二年連続で、二度香る、という現象を体験し、金木犀は二回咲く花なのだろうか、と疑問に思っていました。

一度目は、9月の終わり頃に金木犀の花の香りが到来、ああ、秋だなと思ったあと、まもなく匂いはなくなり、再び、10月の中旬頃に香ってきました。

金木犀の二度咲きは、元来は珍しい現象のようですが、2021年に続いて、2022年も二度咲きの模様。

東京都大田区の新田神社さんの2021年のツイートで、金木犀の二度咲きの様子が呟かれていますし、また、2022年も、数多くの金木犀の二度咲きに関するツイートが挙がっています。

一体なぜ、こうした二度咲き現象が起こるのでしょうか。

金木犀が二回咲く理由というのは明確にはわかっていないものの、和歌山大学の実験によれば、野外気温より3度加温すると、開花の開始は遅れ、開花期間が長くなり、さらに加温すると、開花期に複数のピークが訪れる2〜3度咲きという現象が生じたことから、二度咲きは気温の変化などの条件によるものではないかという説もあります。

いつから金木犀の二度咲き現象が増えてきたのか時期は分かりませんが、調べてみると、2016年のあるブログには、「数年前のこと」として、次のような記載があります。

私が「キンモクセイの花は2度咲くのか?」と思ったのは、数年前のことです。

その年は、通り道にあるキンモクセイの花の散るのが妙に早かったのです。木全体にオレンジ色にどっと咲いて、それが1〜2日でどっと散って、木の下が一面、オレンジ色になりました。

「いくらなんでも散るのが早すぎないか?」と思っていたら、またもりもりとつぼみをつけて、1週間ほどあとに、わっと咲いたのです。

出典 : キンモクセイの花は、ときに2度咲く。花の秘密

昔から毎年そうだったのであれば、もっと一般に知れ渡っているでしょうし、この二度咲きというのは割と最近目立ってきた現象なのではないでしょうか。

金木犀の二度咲きに関するツイートを見ていると、二回目のほうが花が満開だったり香りが強いことが多く、二度咲きの場合、二回目が本番なのではないか、という声もよく目にします。

これらは、どうもいったん散ってからもう一度花が咲くので、先の研究における開花期にピークが2〜3度訪れることによって見た目上二度咲きに見える、ということと果たして同様の現象なのか定かではありません。

金木犀が北海道や青森に咲かない理由

気温で言うと、金木犀は寒さに弱いので、北海道では馴染みがなく、基本的には花の香りを体感することはできません。そのため、北海道では金木犀を見ない、芳香剤など以外で匂いを知らない、というのが一般的な声のようです。

もし北海道で金木犀が見たいという場合には、札幌にある百合が原公園内にある温室で見られるとのこと。

甘い香り キンモクセイが開花 百合が原【HTBニュース】

北海道だけでなく、寒い地域で言えば、青森でも金木犀は見たことがない、という声が多く、どうも青森県内も金木犀は滅多に咲いていないようです。

ただ、ツイッター上では、非常に数少ないながら青森県の八戸で金木犀の目撃情報があり、全く咲かないということでもないのかもしれません。また、弘前城植物園にも金木犀がある、という声があります。

青森以外の東北に関して言えば、環境が整っていれば秋田や岩手でも咲くそうで、たとえば岩手県では、日常でよく見る花ではないものの、盛岡城跡公園(岩手公園)に金木犀があるようです。

秋田では、秋田市内で匂いがしたという声がごくわずかですがあり、また、秋田市の三吉神社に金木犀が咲いているようです。

その他、山形、宮城、福島では咲いているとのこと。青森でも目撃情報があるようなので、現在の具体的な境界線がどの辺りになるかは分かりませんが、一般的には、金木犀の北限は南東北、ないしは秋田や岩手の南部がぎりぎりではないか、と考えられています。

また、金木犀は排気ガスなど大気汚染にも弱く、大気汚染が激しい地域だと花が少なく、香りがそれほどしないそうです。

この植物は、気温だけでなく空気の汚れにも敏感らしい。大気汚染が深刻化していた高度成長期には匂わぬキンモクセイが公害の象徴のように言われたそうだ。1964年刊行の「お天気歳時記」という本には、気象庁の庭に植えてある木も「ついぞ芳香をただよわせたことがない」とある。

出典 : 春秋|日本経済新聞

寒さや大気汚染に弱く、秋のわずかのあいだしか咲かない甘い香りを漂わせる花と聞くと、金木犀がいっそう不思議で魅惑的に感じられるのではないでしょうか。

以上、金木犀の咲く時期や二度咲きのこと、北海道や青森などで咲かない理由でした。