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身体

固いみぞおちの緊張をほぐす、緩める方法

固いみぞおちの緊張をほぐす、緩める方法

みぞおちの緊張

日々の仕事や家庭環境によるストレスが溜まり、イライラや不安感、うつ症状が続いているようなときは、みぞおちを押してみると、ある違和感に気がつくかもしれません。

その違和感とは、みぞおちに生じる、固いこりのような緊張や、筋の突っぱったような痛みです。

整体の世界では、全身の緊張が、中心のみぞおちに集まり、その固いみぞおちによって不安や過呼吸、パニックなどストレス性の症状を引き起こす、という考えがあります。

著名な整体師の片山洋次郎さんは、本のなかでみぞおちの固さについて次のように語っています。

頭だろうと背骨だろうと、身体のどこかが緊張したとき、必ずみぞおちが堅くなります。

出典 : 片山洋次郎『骨盤にきく―気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門』

それでは、一体なぜ、みぞおちに集まってきた緊張と精神的な症状が関連してくるのでしょうか。

イメージとして、一つの「連鎖」を想像してみると分かりやすいかもしれません。

たとえば、会社にせよ、学校の教室にせよ、家庭環境にせよ、不安や緊張に囲まれている環境に身を置いていると、無意識のうちに、呼吸が浅くなったり、手を握りしめたり、歯を食いしばったり、息をのんだり、肩をこわばらせたり、といった「緊張状態」が習慣となっています。

過緊張というのは、ストレス社会と言われる現代の大きな問題の一つであり、無意識の習慣による過緊張状態は、常に体がこわばっていることにも繋がり、全身の筋肉の張りやこりとしても蓄積していきます。

この体の隅々で生じた緊張が、体のちょうど中心である「みぞおち」の固さに影響を及ぼします

そして、全身の緊張によって生じるみぞおちのこりのようなこわばりは、呼吸しようとするときに動く横隔膜の広がりを妨げ、深い呼吸を疎外します。

実際に深呼吸をしてみると、この緊張による呼吸のしづらさが実感できるのではないでしょうか。

ゆっくり腹式呼吸をしようとすると、固いみぞおちや胸の周辺、あるいは背中の緊張などが引っかかり、呼吸を邪魔するような感覚が体感として分かります。

よく深呼吸が重要と言われますが、緊張状態だと、体がこわばり、自然と浅い呼吸になります。

この浅い呼吸が続けば、リラックスもできず、余計緊張のしやすい状態を生み、その緊張が、さらに積み重なるようにしてみぞおちのこわばりを引き起こす、という悪循環にはまりこんでいきます。

このようにして行き場を失った緊張の連鎖による過緊張状態によって、次第に強い不安感やうつ症状、過呼吸、パニック障害といった心身症などストレス性の不調に繋がっていくと考えられます。

ヨガの世界には、「意地悪な人はみぞおちが固い」という言葉があるそうです。

積もり積もった緊張ストレスが、みぞおちを緊張させ、その胸の辺りの緊張を吐きだすために「意地悪」を言う。

思いっきり、意地悪や愚痴を外に向かって吐きだすと、固い胸やみぞおちの辺りのもやもやがすっきりし、緊張のほぐれたような感じがするのではないでしょうか(ストレス発散やリラックスに、海で叫んだり、大声を出す、大声で歌う、というのがよいというのも関係あるのでしょう)。

日本語には、その症状を表しているような言葉もあります。

たとえば、「むかつく」「胸のわだかまりをとる」「溜飲が下がる」「胸に手を当てて考える」などと言いますが、こうした表現からも、胸や胃など、みぞおち周辺のもやもやした身体感覚や緩みと、精神状態が関連していることが伝わってきます。

また、みぞおちというのは、ちょうど「巨闕こけつ」と呼ばれるイライラや内臓の疲労を抑えるツボでもあります。

もしみぞおちが硬いようなら、それは体からの緊張の蓄積のサインであり、悲鳴かもしれません。

そのため、普段から深呼吸を意識することはもちろん、みぞおちをほぐすこと、緩めることも大切です。

ちなみに、スピリチュアル的に言えば、みぞおちの世界は第三チャクラとも呼ばれ、自尊心や感情の調和と深く繋がっていると言われています。

第3チャクラは、みぞおち周辺にあるエネルギー場の事です。 仕事や知性、自尊心といった部分と深くつながっているチャクラです。チャクラのカラーはイエローです。

自己の確立を促して、誰かの言葉に不安になって自分を見失うことなく、的確な判断が出来るようなエネルギーが巡っています。

日常の小さなことから大きなことまで様々な選択や決断をするとき、行動を起こすときにも第3チャクラのエネルギーがとても重要です。

出典 : 第3チャクラ 「自分らしさ・自分を信じる力」

みぞおちをほぐす方法

それでは、このみぞおちのこりのような固いこわばりを緩めることで深い呼吸をできるようにする方法として、簡単なストレッチ(セルフマッサージ)を紹介したいと思います。

まず、下記のイラストのように両手の甲のあたりを軽く合わせるようにし、みぞおちの下に指先を当てます。

それから、口をすぼめ、細長く息を吐きだすようにして、じんわりと指がみぞおちの奥に入っていくのを感じながら、ゆっくりと前屈をしましょう。

その後、そうっと力を抜きながら、指先を放していきます。

筋肉のこわばりは、指圧マッサージをしたり伸ばしたりといった一時的に与える「緊張」によってほぐすというより、その緊張のあとの「緩和」で緩むので、その緩和のイメージを意識しながら行うとよいでしょう。

画像  呼吸が浅くなってない?浅い呼吸は不調の元|nikkei WOMAN

このみぞおちのストレッチを何度か繰り返したあとに、もう一度、深く腹式呼吸をしてみると、先ほどよりも胸が柔らかく広がって、空気が深く取り込めるようになっていることが実感できると思います。

イライラや不安感が強いときは、自分のみぞおちに触れ、緊張やこりのように硬くなっているようであれば、上記のようなみぞおちをほぐすマッサージを試しながら、深呼吸(腹式呼吸)を意識するとよいでしょう。

あるいは、薬局などでお灸も買えるので、このみぞおちの部分にあるツボにお灸をえるのもおすすめです。

現代社会というのは、先行き不透明な未来に対する不安や、仕事先の人間関係、またパソコンやスマホの光、食品添加物など、心身を刺激する無数の「ストレス」で溢れ返っています。

テレビやツイッターなどから日々飛び込んでくる情報も、頭を空っぽにする時間の取れない大きな要因となり、若者を中心に「脳疲労」が問題となっているように、スマホ依存を背景とする脳疲労は現代を象徴するストレスと言ってもよいかもしれません。

本や辞書と比較すると、スマートフォンから得られる情報は小さな画面内に色や光、文字、映像など大量の情報があふれ、私たちの脳はこれらを高速で処理する。しかし、膨大な情報を処理するために脳はフル稼働となり疲弊。これにより、記憶力や集中力などの低下が起こるとされる。

出典 : 「スマホ認知症」が若者に忍び寄る “情報のゴミ”で脳が疲弊し記憶力低下…医師が示す3つの処方箋【福井発】

たとえ、その一つ一つは微量であっても、あるいは大小の差はあっても、「総量」で言えば、心身にとって現代の日々の生活は相当な負荷になっていると言えるでしょう。

無数の心身に与えるストレスで溢れた世界のなかで、「内なる自然」と言ってもいい身体は、肩こりや首こりに代表されるように、常に硬い、こわばった状態の過緊張状態が続き、徐々に柔軟性、余裕が失われていきます。

こうした環境そのものに、今の閉塞感や息苦しさを引き起こす〈負の連鎖〉の原因の一端があるのかもしれません。

先ほどのイメージを、もう少しだけ広げて考えてみましょう。

たとえば、職場やクラスの一人が、自分のみぞおちの硬さや息苦しさをすっきりさせようと、ストレス発散のためにA君に「意地悪」を言います。

意地悪を言われたA君は、知らず知らずのうちに、呼吸が浅くなったり、右手をぎゅっと握りしめたり、歯を食いしばったり、息をのんだり、肩をこわばらせたりするでしょう。

その緊張は、全身からA君の中心である「みぞおち」に集まってきます。

こうした日々の慢性的な緊張によって、みぞおちは固まり、肩や胸が縮こまり、いっそう浅くなった呼吸が、さらなる息苦しさに繋がっていき、その鬱憤をすっきりと吐きだすために、今度はA君が、家族や後輩、恋人といった身近なはけ口に「意地悪」を吐きつけるようになるでしょう。

あるいは、その言葉を、ぐっと飲み込み、溜め込み、押し殺せば、A君の体や心がいずれは悲鳴を上げることになるかもしれません。

スイスの精神科医であるルートヴィヒ・ビンスワンガーは、「ことばが沈黙するとき、からだが語り始める。」という言葉を残しています。

ずっと溜め込んでいたら、やがては体調に色々と症状が出てくる、心と体が密接に繋がっている、ということは、多くの人が経験しているのではないでしょうか。

誰かの意地悪が、誰かの緊張となり、固いみぞおちと浅い呼吸になる。そしてまた別の誰かに意地悪を言う。最後は、繊細で誰にも言えない誰かが我慢し、溜め込み、ストレス性の不調が出てくる。

言い換えれば、このみぞおちのこわばりと意地悪の連鎖を、誰かが終着駅として抱え込むことになる、と言えるかもしれません。

だからこそ、気づかぬうちにイライラや不満が溜まり、身近な人や弱い人に対する苛立ちとして発散してしまっているときには、体自体の疲弊のサインでもあるので、意識的に、心身の緊張に目を向け、優しく解きほぐすようにしてみてはいかがでしょうか。

これはみぞおちをほぐすセルフマッサージでも、ヨガや鍼灸などでも、普段の深呼吸の習慣でも構いません。体を緩めることが大事です。

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その上で、先ほど説明したような広い意味での日々の無数のストレス要因から、減らせそうなものは順に減らしていくこと。人間関係や部屋、仕事などを整理し、断捨離をするのもよいですし、定期的なデジタル断食も効果的でしょう。

こういった方法も、自分を労わる、ということに繋がります。

そして、こんな風な自分自身への優しさや気づかい、みぞおちの緩みや呼吸のしやすさによって、「意地悪」ではなく、温かな言葉や態度となり、誰かの心に向けて連鎖していくことになる。

案外、こういうことの積み重ねによって、この世界は、ぎすぎすしてこわばった世界から、柔らかく、息のしやすいものに変わっていくのではないでしょうか。