一言とはどのくらいか
日常的に使われる言葉の一つに、「一言」という表現があります。
用例として、「ちょっと一言よろしいでしょうか」「今の気持ちを一言」「新郎新婦に一言」といったように、「一言」は、どこかで聞いたことがあるようなありふれた表現と言えます。
一言は、辞書的に言えば、「ひとつの言葉。わずかな言葉。ちょっと言うこと。」という意味になります。しかし、「一言」と言いながら、全然一言ではなく長々と喋る人もいるように、実際には「一言」の定義や基準は決まっていません。
一言とは、どのくらいの時間なのか、時間ではなく文字数なのか、というのは、感覚的なものと言えるでしょう。
一言が、一行や一文程度、という場合もあります。「最後に一言言わせてくれ。“絶対に負けるんじゃねえぞ!”」とエールを送ることもあるでしょう。
一方で、「最後に一言だけ、お伝えしたいことがあります」と言ってから、句読点や接続詞も使って、二、三の文章に連なる場合も少なくありません。
主文の文章量や、その場の流れなども含め、一言の量もその都度変わり、短い場合もあれば、ほどほどに長い場合も、流れ次第では決して不自然ではないでしょう。
とは言え、「一言」と言いながら、くどくどと長いと、聞いている側も集中力を切らしたりイライラしたりするものです。
一言が、だいたいどのくらいか、といったことは、人それぞれの感覚や経験、状況、話の流れなどによって千差万別ですが、しかし、長さとしては、多くてもせいぜい、二、三の文章の連なりにする。あるいは結論だけにする、といった節度は必要かもしれません。