一言とは、どのくらいか
日常的に使われる言葉の一つに、「一言」という表現があります。
たとえば、用例として、「ちょっと一言よろしいでしょうか」「今の気持ちを一言」「新郎新婦に一言」などが挙げられます。
一言とは、辞書的に言えば、「ひとつの言葉。わずかな言葉。ちょっと言うこと。」という意味になります。
しかし、「一言」と言いながら、全然一言ではなく長々としゃべる人もいるように、実際に、一言の定義や基準は決まっていません。
一言とは、一体どのくらいの時間なのか、文字数なのか、というのは、感覚的なものと言えるでしょう。
一言が、一行や一文程度の場合もあります。
たとえば、「最後に一言。“絶対、負けるんじゃねえぞ!”」とエールを送ることもあるでしょう。
一方で、「最後に一言だけ、お伝えしたいことがあります」と言ってから、句読点や接続詞も使って、二、三の文章に連なる場合も少なくありません。
主文の文章量やその場の流れなども含め、一言の量も、その都度変わり、一言が、短い場合もあれば、ほどほどに長い場合も、流れ次第では決して不自然ではないでしょう。
とは言え、「一言」と言いながら、くどくどと長いと、聞いている側も集中力を切らしたり、イライラしたりするものなので注意が必要です。
また、説明の際に、「一言で表すと」と言うこともありますが、これは、要は「わかりやすく言うと」という意味ですから、端的に説明したほうがよいでしょう。
繰り返しになりますが、一言がどのくらいか、時間や文字数の基準、定義等は定まっていません。
しかし、長さとしては、多くてもせいぜい、二、三の文章の連なりにする。あるいは、結論だけにする、といった節度は必要かもしれません。
ちなみに、一言の話に関連して言えば、日常的に「余計な一言」を言ってしまう人もいるのではないでしょうか。
あの人はいつも一言多いんだよね、と言われるような、余計な一言を足して、人から嫌われる、というパターンがあります。
アナウンサーの魚住りえさんは、この「余計な一言」について、悪気はなく、自己顕示欲が強めの人が言いがちだと指摘しています。
たとえば、つい相手をけなす一言を加える人、答えを先回りして言ってしまう人、話が終わる頃に別の話題を仕掛ける人、「疲れている?」「大丈夫?」を連発する人、余計なおせっかいをしてくる人、などを例に挙げています(参照 : 嫌われる人の「余計な一言」、よくある5大NG「イラッとする、失礼!」あなたは大丈夫?)。
自己顕示欲が強いということは、逆に言えば、自信のなさの表れかもしれません。
相手より優位に立ちたくなる、誤解されるのではないかと不安になる、などの心理から、余計な一言を、つい足したくなる。
気になる場合は、まずは、自分が普段「余計な一言」を言っていないか、セルフチェックしてみるとよいかもしれません。