一時間弱や小一時間は、何分を意味するか
時間などを説明する際に、「一時間弱」だったり、「一時間強」だったりと、単位の後に強弱がつけられることがあります。
この単位のあとに弱や強を添える表現は、あまり子供や若者のあいだでは使われず、主に大人や年配の人が使っていることが多いかもしれません。
そのせいか、たとえば、「一時間弱」というのが、一体何分くらいのことなのか、一時間よりも少ないのか多いのか、といった意味を知らない、あるいは、勘違いしている、という若者も決して少なくないようです。
この「〜弱」とは、「数量を表すことばにつけて、それよりやや少ないこと」を意味します。
具体的な用例として見ると、「徒歩で一時間弱です」とは、一時間未満で、「一時間よりも、ちょっと少ないくらい」を指します。
大体、50分くらいでしょうか。
逆に、「一時間強」と言ったら、一時間よりもちょっと多い、という意味で、この辺の捉え方に違いがあると、「車を使えば一時間弱で着きます」と言った際に、一方は、正しい意味として、50分くらいで着くと認識していても、勘違いしている相手が、70分くらいで着くと思い込んで、誤解が生じる、といった事態になるかもしれません。
あるアンケートでは、「一時間弱」を、一時間に加えてちょっと(弱)、というニュアンスで捉えているのか、70分くらいだと思っている人が、4人に1人だったようです。
ねとらぼ調査隊では、「『1時間弱』という言葉を、普段どちらの意味で使っていますか?」というアンケートをTwitter上で実施しました。回答選択肢は
・50分くらい
・70分くらい
・その他の3つ。1万3000票を超える投票の結果、「50分くらい」と答えた人は72.5%、「70分くらい」と答えた人は26.8%でした(「その他」0.6%)。
一時間弱を、一時間以上で、ちょっとだけ(弱)加えると捉えている人からすると、一時間弱は、70分くらい、という意味合いに勘違いするのでしょう。
おそらく、こういった捉え方をしている人にとっては、「一時間強」というと、さらに結構足すということから、80分くらい、といった認識になるのかもしれません。
そう考えると、決して、「一時間弱」といった表現自体が失礼に当たるということはないでしょうが、ただ、たとえば、上司が、「あとどれくらいでできるか」と尋ね、部下が、「一時間弱です」と答えた際に、上司が50分ぐらいだと思っていても、部下は70分だと思って言っているかもしれず、その場合、20分くらいの差が生まれてしまう、ということになります。
仕事などのビジネスシーンで時間に関する誤解が生じると問題なので、〜弱や〜強といった表現は、避けたほうがよいかもしれません。
また、類語として、「小一時間」といった表現もあります。読み方は、「こいちじかん」です。
日常でも、「小一時間ほど、散歩した」「カフェで小一時間ほど時間を潰した」といった使い方がされます。
この小一時間とは、約一時間、ないしは、一時間弱と同じ意味で、両者にほぼ違いはありません。
一時間ぴったりではないものの、大体一時間くらいで、ただ、それよりもちょっとだけ短いくらい、というのを小一時間と表現します。
小一時間も、ちょっとぼんやりとした表現なので、ビジネスなどでは使わずに、しっかりと「一時間以内」であったり、50分程度であったりと、より具体的な数字をあげるほうがよいでしょう。
個人的な感覚ですが、「小一時間」と、「一時間弱」では、意味の違い自体は、そこまでなく、実際に辞書でも、小一時間の意味として、「一時間弱」も記載されていますが、小一時間のほうが、気軽な表現で、また、より一時間に近く、細かく言えば55分から58分くらいのニュアンスで捉えています。
一方、一時間弱は、割とはっきりと、一時間に届かない、という意味合いで、50分くらいという感覚に近いかもしれません。
いずれにせよ、大体どれくらいかというのは、認識に違いが生じる可能性があるので、もし正確性が必要な場合には、一時間弱や小一時間といった表現は避けたほうが無難でしょう。
ちなみに、一時間弱を英語で表現したい場合は、「a little less than an hour」となるようです(出典 : 英語で『1時間弱』ってどう言うの?)。
一時間強だと、この「less」の部分が、「more」になります。
移動中などに、「我々は目的地まで一時間弱で着きます」と言う場合は、「We’ll get to the destination in a little less than an hour.」となります。
以上、一時間弱や小一時間の意味でした。