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雑学

しりとりとは〜由来ややり方、英語版のルール〜

しりとりとは〜由来ややり方、英語版のルール〜

しりとりの由来

誰もが子供時代から親しみのある遊びに「しりとり」があります。

しりとりとは、たとえば、しりと「り」、「り」ん「ご」、「ゴ」リ「ラ」、「ラ」ッ「パ」、「パ」イナップ「ル」……と前の言葉の最後の音から始まる言葉を探し、順番に言い合っていく、という言葉遊びです。

子供の頃だけでなく、大人になっても、誰かがふいに語尾の音を拾って次の言葉を言い、自然としりとりが始まる、といった場面もあるかもしれません。

こうして日常に浸透しているしりとりですが、そもそも、一体なぜ「しりとり」と呼ぶのでしょうか、また、いつから行われている遊びなのでしょうか。

しりとりは、漢字で書くと「尻取り」と表記し、これは文字通り、言葉の「尻(最後)」から始まる言葉を考えるというルールに由来します。

また、しりとりの起源は古く、平安時代に遡ります。

平安時代には、「文字ぐさり」という名前で、これは今のようなしりとり遊びとは少し違い、しりとり式に言葉を連ね、和歌をつくったり、『源氏物語』の題名を覚えるために貴族のあいだで行われたものだったようです。

この文字ぐさりが、純粋な遊びとなったのは江戸時代で、「しりとり」という言い方も江戸時代に始まったと言われています。

>>しりとりの歴史|駒澤大学情報言語学研究室
>>鈴木棠三 『ことば遊び』 (中公新書)

風流な成り立ちで、歴史もあるしりとり。以下、このしりとりの具体的なやり方やルールについて、簡単に解説したいと思います。

やり方、ルール

しりとりのルールですが、まず、参加人数は何人でもよく、基本的には二人以上で行われます。

細かいやり方としては、冒頭でも触れたように、前の言葉の最後の音で始まる言葉を、それぞれで言い合っていく形となります。

A「しりとりしよう!」

B「いいよ! じゃあ、しりとりの“り”」

C「り、り、りんご」

A「ゴリラ」

B「ラクダ」

C「ん〜……ダルマ」

上記の事例では「しりとり」という単語で始めましたが、初めの言葉には特に決まりはなく、最初の順番の人が自由に決めます。

しりとりのなかで使っていい単語は、基本的に「名詞」に限り、また、有名人の名前など固有名詞の有無に関する判断は各々のルールによって分かれるでしょうが、その場合も、「誰でもわかるかどうか」が基準と言えるでしょう。

それから、同じ単語は、二度使うことは許されません。繰り返しの使用がOKだと、延々同じ言葉を続けることにもなるので、一つの単語は、一ゲームに一回限りの使用となります。

どうなったら勝ち負けがつくか、というと、一つは、最後に「ん」がついたら負けです。

この「ん」が負けの理由としては、ひらがなの最後が「ん」であること、また、日本語のなかに「ん」で始まる言葉がほぼない、という点が理由に挙げられます。

ただし、必死に探せば、外国の地名など含め、「ん」から始まる言葉もあり、「ん」が出たら即負けとするかも個々のルールによって違いますが、一般的には、「ん」で終わったら負け、とされています。

>>しりとりが終わらない!「ん」から始まる言葉を集めました!!

その他、ルールの細かい点としては、「長音、拗音、濁音」などの扱いがあります。

たとえば、「ダイバー」「キーパー」のような長音(「ー」)で終わる場合は、「バー」にするか、「あ」にするか。

また、「記者」「風車」など、「しゃ」の場合は、「しゃ」にするか、それとも「や」にするか。

あるいは、「リンゴ」「落語」など、濁音がつく場合は、「ご」のみか、それとも「こ」も許されるか、といった辺りは、予め決めておくとよいかもしれません。

しりとりの勝利のコツとしては、どの音で始まる単語が少ないかを把握し、その言葉で終わるような単語を繰り出す、という方法が挙げられます。

しりとりの攻略本ではありませんが、NHK放送文化研究所では、国語辞典のなかでどの音で始まる言葉が少ないかが解説されています。

『新明解国語辞典』の第5版(現在は第6版が最新)は総語数(小見出しを含む)で7万2千語ほどありますが、「ぺ、ぽ」で始まり、「ん」で終わらない語はそれぞれ64単語。

次いで、「ぴ」の65、「ず」の82、「ぬ」の116というのが少ない方の5つです。

つまり、「ぺ、ぽ、ぴ、ず、ぬ」で終わることばを持っていれば勝つチャンスが増えるわけです。

「ぺ、ぽ、ぴ」のようなパ行はもともと日本語には少なく、外来語で占められていると言っても良いほどです。(「ぱ」は172、「ぷ」は124でかなり少ない部類です)

「ぴ、ぺ、ぽ」で終わることばには、「安否、隠避、月日、官費、金肥、軍費、厳秘、雑費、賛否、失費、戦費、存否、天日、突飛、燃費、門扉、乱費、レシピ」などがあります。

「ぺ」で終わる語には「いいだしっぺ、さいごっぺ、オノマトペ、カナッペ、しっぺ、フラッペ、もんぺ、ルーペ」があります。

「ぽ」で終わる語には「一歩、尾っぽ、闊歩、ぎんぽ(魚)、ゲシュタポ、健保、コンポ、散歩、先っぽ、しっぽ、進歩、すかんぽ、担保、タンポポ、テンポ(店舗)、独歩、のっぽ、日進月歩、漫歩、ゆたんぽ」などがあります。

これらを覚えておくと、しりとり名人になれるかもしれません。

出典 : ことばの遊び|NHK放送文化研究所

この解説によれば、「ぺ」「ぽ」「ぴ」「ず」「ぬ」で始まる言葉が少なく、逆に言えば、これらの言葉で終わる単語を繰り出せば、しりとり名人になれるでしょう。

英語版だと、どうやったら終わりか

しりとりの起源は平安時代に遡るという話でしたが、海外では、しりとりは行われているのでしょうか。

まず英語圏でしりとりがあるかどうかですが、調べるかぎりでは、決してメジャーではなく、「しりとり」を英語訳する場合も、そのまま「shiritori」か、あるいは「(Japanese) word chain game」と訳すようです。

この「word chain game」は、ルールを見ると、英語を使うことと、音ではなくアルファベットの繋がりで言葉を考える、という以外はしりとりとほとんど違いはありません。また、これは日本でもありますが、ジャンル縛りや、回答までの時間制限を設ける場合もあるようです。

ところで、日本語だと「ん」がつくと負けですが、英語版のしりとりでは、どうなったら終わりなのでしょうか。

柴崎友香さんの小説『きょうのできごと』の冒頭、車中の会話のシーンで、登場人物たちがしりとりをしようという話になり、その会話のなかで英語のしりとりに関する話題も一瞬だけ出てきます。

しばらく続けた後で、中沢はちょっと考え込んでから言った。

「英語のしりとりってどうするん? Nで始まる言葉あるから終わらんやん」

「続かへんかったら終わりやろ。中学の英語の時間に言ってたやん。Kで始まる単語とかが少ないから、そういうので行き詰まって終わるって」

出典 : 柴崎友香『きょうのできごと』

回答に時間制限を設けた場合など、続かなくなったら終わり、ということなのでしょう。

あるいは、英語では「x」で始まる単語が極端に少ないので、「x」が最後につくと負け、というルールになっている場合もあるようです。

その他、外国のしりとりで言えば、たとえば中国でもしりとりがあり、中国語では「成語接龍」と言い、中国語版のしりとりの場合、「ん」がついたら負けといったルールはないようです。

また、韓国のしりとりは、「끝말잇기クンマルイッキ」と言います。「끝(クッ)」は韓国語で「終わり・おしまい」、「말(マル)」は「言葉」、「잇기(イッキ)」は「つなぎ」を意味し、通して「終わりの言葉のつなぎ」となります。

ルールとしては、韓国のしりとりも基本的に日本のしりとりと同じです。ただし、こちらも、「ん」で終わりといったようなルールはなく、言える単語がなくなったら終わりとなるようです。

以上、しりとりの由来ややり方、英語版のルールなどの紹介でした。