宮崎駿監督と髭
ジブリの宮崎駿監督と言えば、トレードマークとして「白ひげ」があります。
今からもう随分と昔、『天空の城ラピュタ』を作っていた若い頃の宮崎監督の映像を見ると髭がないので、一体いつから髭を伸ばすようになったか詳しい時期は分かりませんが、いずれにせよ、宮崎駿と言ったら、メガネ、白ひげ、エプロンで、よく笑っている、という姿が印象的です。
しかし、この宮崎監督が髭を剃った、ということで話題になっていたのが、第96回アカデミー賞のライブストリームに登場した際の動画です。
この動画では、宮崎監督と、プロデューサーの鈴木敏夫さんが、並んで話をしている様子が映っています。
髭のない宮崎駿監督は、確かに別人のようです。一体なぜ髭を剃ったのかと言うと、鈴木敏夫さん曰く、気分転換と、「髭があると立派そうに見えるので、そこを取っ払うところからスタートだと考えた」という理由から、髭を剃るように提案したと言います。
宮崎駿監督自身は、髭を剃るという案に対し、最初嫌がっていたそうで、剃った後は、よく鏡を気にするようになったそうです。
髭を剃った時期は、もう結構前で、2023年9月頃には剃っており、ただメディアに出る機会がなかったから、知られていなかったということがあるようです。
映画関係者が語る。 「監督は、2023年9月の時点で、ひげは剃っていたんです。理由は『目立って声かけられたり、バレたりするから』という単純なものだったそうですが、たしかにこれまで、ひげを剃ったあとにメディアに登場していませんでしたからね」
確かに、あれだけはっきりと「宮崎駿」という存在感があると、すぐにバレるということも多かったのではないでしょうか。
この二人の様子が流れている映像は、YouTubeにあがっていたアカデミー賞のアニメ部門のライブストリームになります。
ご高齢と言うことに加え、このアカデミー賞にノミネートされ、アニメ部門で見事受賞した映画『君たちはどう生きるか』の制作にあたっても、随分と心身ともにすり減らした様子なので、映像を見ていても、ちょっと元気がないようにも伺えます。
ただ、これは元気がないのか、それとも、この映像のあと、受賞が決まった際には、「日本男児は、喜んだ顔を見せてはいけない」と宮崎監督自身が鈴木さんに言っていたようなので、あえてあまり嬉しそうな表情や笑顔を見せないようにしていたのかもしれません。
また、映像内では、この映画が宮崎駿監督にとっての自伝的な作品かどうか、と鈴木さんに問われ、「いや、でも心の中にあったことですね、そういうことだと思います」と宮崎駿監督は答えています。
自伝的ファンタジーとも称される作品であり、自分の内部にあったことを、なるべく曝け出して作品にしたのかもしれません。
受賞後には、次回作に関して、もう一本作りたいようなら、取り掛かる、というようなことを鈴木さんが語っています。
宮崎監督の体調は、鈴木さん曰く、「ものすごい身体は元気」ということなので、この辺りは少し安心かもしれません。
現在、三鷹の森ジブリ美術館用のパノラマボックス(ボックスの中をのぞき込むとパノラマのような絵が見えるもの)のための絵を描き続けているとのことで、「映画が終わってから時間がたっているけど、今後、彼のつくったパノラマボックスがいろんなところから出てきます。この人ものすごい身体は元気なんですよ。たぶん死ぬ最後の日まで衰えないんじゃないかな。そして最後の一日で一気に歳をとるんじゃないか、そんな気がする毎日です」と笑った。
また、受賞会見については、一度引退宣言をしている身として、宮崎駿監督自身が表に出ることは考えていないそうです。