久しからずの意味
日本語の古い表現に「久しからず」という用語があります。
久しからずとは、現代語訳すれば、「長くは続かない」という意味です。
もともと、「久しい」というのが「長い時間が経っている、行く末が長い」という意味で、その否定形に当たるので、「久しからず」は「長くは続かない」となります。
例文として有名なのは、『平家物語』の冒頭部分にある一節、「おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし」です。
これは、地位や権力に驕り高ぶった者も、長く続くことはない、まるで春の夜の夢のように、という無常観を表現した文章です。
また、この『平家物語』の一節に由来し、「驕る平家は久しからず」ということわざもあります。
このことわざは、「地位や財力を鼻にかけ、おごり高ぶる者は、その身を長く保つことができない」ということを指す喩えです。
勝利や成功への戒めの際にも使われる用語です。