樹木希林の名言
樹木希林さんは、東京都出身、1943年に生まれ、2018年に亡くなった日本を代表する女優です。
近年の代表作としては、『万引き家族』や『そして父になる』、『東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜』などの映画が挙げられ、数々の賞も受賞しています。
樹木希林というのは芸名で、本名は内田啓子(ミュージシャンの内田裕也さんと結婚)と言います。
この芸名は、TBSのプロデューサーの久世光彦さんや番記者の人たちとともに行った命名ミーティングの場で出た、木や樹が集まり、稀な林をつくる、みんなで集まり何かを生み育てる、というイメージに由来し、希林さん自身、「キ」が続くという音も気に入ったことから決まります。
辞書を引いて文字を拾いながら4文字から「樹や木が集まり稀(まれ)」な林を作る。みんなが集まり何かを生み育てる」を連想し、本人も「キ・キ・キと音が重なるのは好き」と気に入り「樹木希林」が誕生したのである。
波乱万丈な人生のなかで、内側に狂気を秘めつつも達観した境地に辿り着いた樹木希林さんは、生前、数多くの名言も残しています。
樹木希林さんの有名な名言の一つが、以下の言葉です。
「おごらず、人と比べず、面白がって平気に生きればいい。」
この言葉は、樹木希林さんの愛娘の内田也哉子さんが、希林さんの葬儀の挨拶で、古い記憶からたぐり寄せるように、「いつか母に言われた言葉」として紹介されたものです。
おごり、というのは、得意になってたかぶり、わがまま放題にふるまうこと、を意味します。
おごらず、誰かと比較することもなく、色々なことを面白がって生きればいい、と樹木希林さんは言います。
希林さんのこの言葉を読み返すと、不思議と心が軽くなる人もいるのではないでしょうか。
それはもしかしたら、色々なことを一生懸命に行おうとして、生きるのが苦しくなっているからなのかもしれません。
特に、今の世の中は、SNSやネットによって入ってくる情報も多く、常に他人との「比較」に曝されています。
あの人はいいな、あの人たちに比べて自分は、と劣等感やコンプレックスに陥ったり、逆に、肩肘を張って、威張ったり驕ったりしてしまうこともある。
しかし、そういう風に生きていると、やがてはすっかり疲れ切ってしまうでしょう。
だからこそ、自分の道を、たんたんと生きる。
色々と考え込まなくていい、おごらず、人と比べず、面白がって生きる、ただそれだけでいい、それだけでじゅうぶん。
そんな風に思うと、ほんの少し生きることが楽になるかもしれません。
漫画『ハチミツとクローバー』や『3月のライオン』の作者の羽海野チカさんも、インスタグラムで、この樹木希林さんの珠玉の名言を、大切な言葉として載せています。
この投稿をInstagramで見る
羽海野さんは、この言葉を忘れたくなくて、付箋に書き留めて貼ったそうです。
また、もう一つ、樹木希林さんの名言として紹介したいのが、亡くなる少し前に樹木希林さんがインタビューでテレビ出演した際に、ご自身の口から発された言葉です。
インタビューの最後、暖かい声で、語りかけるように希林さんは言います。
どんなに不幸なものに出会っても、どっかに明かりが見えるものだ、というふうに思ってる。
もちろん、幸せがずっと続くものでもないから、何か自分で行き詰まったときに、どうぞ、そこの行き詰まった場所だけ見ないで、ちょっと後ろ側から見てみるという、そのゆとりさえあれば、そんなに人生、捨てたもんじゃないな、というふうに今頃になって思ってますので、どうぞ、面白く、物事を面白く受け取って、愉快に生きて。
お互いにっていうと、おこがましいけど、そんなふうに思っています。
あんまり頑張らないで、でも、へこたれないで。
樹木希林(NYでのインタビュー)
不幸なことがあっても、どこかに明かりが見えるもの。行き詰まったときには、ほんの少し、後ろ側から見てみること。
そのゆとりさえあれば、そんなに人生捨てたもんじゃないなと、今頃になって思う、と希林さんは言います。
そして、まんべんなく優しさの行き届いた、「頑張らないで、でも、へこたれないで」という一言。
生き抜いた人だからこそ、シンプルながら、言葉の重みがいっそう胸に沁みます。
頑張らないでいいんだよ、という優しさと同時に、でも、へこたれないで、とエールも送ってくれる、樹木希林さんの名言の一つです。
その他にも、人々に響く希林さんの言葉として、次のような言葉も挙がっています(参照 : 【樹木希林 120の遺言】読者が選ぶ「私の好きな希林さんの言葉」ベスト5発表!)。
・幸せというのは『常にあるもの』ではなくて『自分で見つけるもの』。
・失敗したらね、そこからスタートなの。あんまり深く考えない。
・世の中をダメにするのは老人の跋扈。時が来たら、誇りを持って脇にどくの。
・いまなら自信を持ってこう言えます。今日までの人生、上出来でございました。これにて、おいとまいたします。
以上、女優の樹木希林さんの人生観や死生観の表れる名言でした。