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言葉の意味・由来

眠れる森の美女のあらすじと“眠れる”の意味

眠れる森の美女のあらすじと“眠れる”の意味

ヨーロッパの古いお話に、『眠れる森の美女』(『眠り姫』という邦題もある)という民話があります。

民話のため、ストーリーには複数の形があるものの、一般的に知られている『眠れる森の美女』のあらすじとしては、短く要約すると、以下の通りになります。

子宝に恵まれなかった王様とお妃様のもとに、ようやく生まれた王女。喜んだ王様は、盛大なお祝いの洗礼式を実施し、その国の仙女を7人集めるのですが、呼ばれていなかった一人の仙女が怒り、悪事を働こうと考えます。

そして、一人一人の仙女が、お姫様に、美しさや賢さなどの贈り物を与えていくなかで、その悪い仙女が、「王女は16歳になる前に、紡車つむぎぐるまに指をさされて死ぬだろう」と呪いをかけます。

そのとき、若い仙女が、お姫様を守ろうとして、呪いを消すことはできないものの、呪いを、「死ぬ代わりに100年眠り続ける」という形に変え、「100年経ったら一人の王子様が、お姫様を眠りから覚まします」と言います。

それでも、悲観した王様は、国中から紡車を燃やすようにお触れを出します。

ところが、お姫さまが15歳になったとき、塔に閉じこもっていたことからお触れを知らなかった老女の紡車に、たまたまお姫様が興味を抱き、近寄った瞬間、紡ぎ糸で刺してしまったために、姫は100年間の眠りに入ってしまいます。

先ほどのよい仙女が駆けつけると、お姫様が目を覚ましたときに困らないように、王様やお妃様、国中の人々も周りの森林も100年の眠りにつけさせ、城もいばらで巻いて守ります。

それから100年後、その城の周辺を収めていた王様の息子である王子様が、そのお城の前を通りかかると、いばらがほどけ、城のなかに入ることができます。そして、城のなかでは、美しいお姫様が眠っており、100年が経ったことから、お姫様は目を覚ますと、二人は結婚して幸せになる、というお話です。

このとき、仙女ではなく魔法使いであったり、人数が違ったり、王子様がキスをすることで目覚めるといった違いがあるものの、物語は、呪いによって100年の眠りについたお姫様が、目が覚めて王子様と結婚する、という点で共通しているようです。

また、もともと最初に編纂された際のバージョンでは、怖い結末として、姫の結婚のあとに続きがあり、姫と王子のあいだに二人の子供に恵まれ、幸せに暮らしていたものの、王子の母親が人喰い魔の人種の出身で、幼い子供を見ると衝動的に食べようとする、という話に繋がっていきます。

そして、最後は、母親が気が狂って自殺する、というだいぶ恐ろしい結末を迎えるお話となっていきます。

この一見すると怖い結末は、日本でも、「そんなに悪いことをしていると、鬼が来て食ってしまうよ」とおじいさんおばあさんが言っていたように、しつけの意味合いがあったのかもしれない、といった指摘もあります。

ちなみに、題名の『眠れる森の美女』の“眠れる”というのは、古い言い回しで、「眠ることができる」ではなく、「眠っている」という意味になります。

同じ“眠れる”を使う有名な言葉で、「眠れる獅子」という表現もあります。

これは、「大きな力をもちながら、それをまだ十分発揮しないままでいる人や国などのたとえ」を意味しますが、この“眠れる”も、「眠ることができる獅子」ではなく、「眠っている獅子」、すなわち、まだ眠っているが、十分に力を発揮したら凄いライオンを指した表現となります。

ただ、『眠れる森の美女』は、言葉だけを見ると、眠っているのが、「森」か、「美女(姫)」か、という点でややこしさもあるので、別の翻訳である『眠り姫』のほうが、分かりやすいタイトルと言えるかもしれません。

以上、『眠れる森の美女』の簡単なあらすじと、題名の“眠れる”の意味でした。