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言葉の意味・由来

今は昔の意味

今は昔の意味

古文の冒頭で目にする慣用句に、「今は昔」という表現があります。

今は昔とは、説話や物語文学の書き出しに用いられ、現代語訳すれば、「もう今となっては昔のことだが……」という意味の言葉です。

今の表現で言うなら、「むかしむかしあるところに」と似た意味合いと言えるでしょう。

今は昔、という冒頭文で有名な作品と言えば、日本最古の物語と言われる『竹取物語』が挙げられます。

この『竹取物語』は、時代としては、平安時代前期の作品と言われていますが、原本は残っておらず、作者も、正確な成立の年代も、分かっていません。

現代では、『竹取物語』は、『かぐや姫』という呼び名で幼い頃から親しまれています。

加えて、少し前には、ジブリの高畑勲監督が、アニメーション映画化し、美しい水彩風の映像や、懐かしくも寂しげな音楽が印象的な作品として話題になっています。

高畑勲『かぐや姫の物語』 予告編

さて、「今は昔」から始まる、この『竹取物語』。

有名な冒頭は、国語の教科書で学び、学校で暗記して朗読した、という人も少なくないのではないでしょうか。

竹取物語の冒頭竹取物語の冒頭 〈原文〉 今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。 野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。 名をば、さぬ...

以下は、「今は昔」で始まる、『竹取物語』冒頭の原文と現代語訳です。

〈原文〉今は昔、竹取のおきなといふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、さぬきのみやつことなむいひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。

〈現代語訳〉今となっては昔の話ですが、竹取の翁という者がおりました。野山に分け入って竹を取っては、様々なことに使っていました。名を、讃岐の造といいました。(ある日)竹のなかに、根元の光っている竹が一本あり、不思議だと思って近づいてみると、筒のなかが光っています。その光をよく見ると、三寸ほどのとても可愛らしいひとが座っていました。

出典 :『竹取物語』

アニメ版『かぐや姫の物語』では、このかぐや姫との出会いのシーンとして、手のひらのなかで光る、小さな姫の姿が描かれています。

高畑勲『かぐや姫の物語』

その他、各説話の書き出しが、「今は昔」で始まる物語が集められていることに由来する、平安時代末期の説話集『今昔物語』もあります。

この『今昔物語』を題材に書いた、近代の小説としては、芥川龍之介の『羅生門』や『』が有名です。

以上のように、「今は昔」とは、「むかしむかしあるところに」という言い方のような、古い物語や逸話を語る際の書き出しとして、古くから使用された慣用句ということが言えるでしょう。

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ちなみに、英語で「むかしむかしあるところに」は、「Once upon a time」や「Long, long ago」と訳されるようです。