蛙化現象の本当の意味
「蛙化現象」の本当の意味とは
複雑な心理が絡み合う「恋愛」。その恋愛に関する心の模様を表し、少し前から話題になっている言葉に「蛙化現象」があります。
テレビで取り上げられることも、あまり多くないので、よく意味を知らない、という人も少なくないかもしれません。
読み方は、そのまま「かえるかげんしょう」と言い、蛙化の「蛙」とは、田舎で季節の風物詩のように鳴いている、あの蛙のことです。
蛙化現象は、若者言葉の側面が強く、Z世代(生まれつきネット環境があり、スマホやSNSが浸透している「デジタルネイティブ」と言われる世代)の流行語として一位に選ばれるほど、今の若者たちのあいだで浸透しています。
一体、「蛙化現象」とはどういった意味で、また、なぜ「蛙」なのでしょうか。
以下、蛙化現象に関して、よく知らない人でも理解しやすいように、分かりやすく簡単に解説したいと思います。
まず、蛙化現象とは、「好きだった相手から、告白されたり、両思いになって付き合ったりすると、ずっと好きだったのに急に嫌いになる、相手のことが気持ち悪いと感じたり、生理的に拒否反応が生じるようになる現象」を意味します。
一言で言えば、「好きだった人から好かれた途端、急に嫌いになる」現象です。
この現象に陥ることを、「蛙化現象」と呼びます。その名称の通り、心理的な現象ではあるものの、病名などではありません。
実用日本語表現辞典では、次のように「蛙化現象」が解説されています。
蛙化現象とは、片思いの相手から好意を返されると相手に対して嫌悪感を抱いてしまう、両思いになった途端に恋愛感情が冷める、という心理的な傾向を意味する言葉である。10代女子などにしばしば見られる傾向とされる。
一般的には、恋愛と言うと、男性でも、女性でも、中学生や高校生など思春期のティーンエイジャーでも、大人でも、恋をしたら、その目的地として、手を繋ぎたい、一緒にいたい、両思いになりたい、付き合いたい、結婚したい、といった願いを抱く人が多いのではないでしょうか。
しかし、この「蛙化現象」というのは、むしろ真逆です。
ずっと好きだったのに、両思いになったり、告白されると、まるで急に冷めたように好きだったものが嫌いになる、気持ち悪くなる、という現象で、一見すると不思議な(そして相手からしたら、だいぶ理不尽な)状態を指します。
意味わからん、そんな人はいないでしょ、と思う人もいるかもしれません。
しかし、実際、この数年で「蛙化現象」という言葉は検索される数も一気に増え、若い女性を中心に浸透しています。
冒頭で触れたように、蛙化現象は、若者のあいだで流行語として認知度もだいぶ高くなっています。
もちろん、なかなか出会いがなく、好きな人ができない。または、恋愛自体に興味がない、別に今は彼氏彼女はいらない、一人が好きで趣味や仕事に没頭したい、といった人は、決して少なくありません。
恋愛が人生の全てではありませんし、そのこと自体は、全くおかしいことではないでしょう。
また、昔から、「百年の恋も冷める」といった表現もあり、嫌な面に触れたら、どれだけ恋心を抱いていても、あっという間に気持ちが冷める、といったことも珍しくありません。
ただ、蛙化現象の特徴としては、恋愛自体に興味がなかったり、嫌な面を見て急に冷める、といった現象とは違い、好きな人自体はいるし、恋人になりたい、という願望もある。
場合によっては、好意を持ってもらえるようにアプローチもする。
あるいは、明らかに嫌な面を見てしまった、というわけでもない。
自身の恋心が実り、「ずっと好きだった」のにもかかわらず、相手から好意を向けられたことによって、急に相手のことを気持ち悪いと感じる、嫌いになる。
この辺りが、恋愛に元から興味がない一人好きや、恋人の嫌な面を見て冷めるといった状態と、蛙化現象の大きな違いと言えるでしょう。
だから、恋人のことをずっと好きだったのに、何かのきっかけで冷めて嫌いになる(女性の場合は、月経前症候群と呼ばれる、生理前のホルモンバランスの乱れによる精神面への影響の一環として、急に彼氏が嫌いになる、気持ち悪く感じる、ということもありますが、これは一時的の場合も多いでしょう)という現象は、本来のニュアンスからすれば、「蛙化現象」には当てはまりません。
ただ、次第に、相手の些細なことで冷める、といった現象も含めて「蛙化」と呼ぶようになっている傾向もあり、これは「誤用だ」という指摘もあります。
ちょっとしたことで、冷める、嫌いになる、ということまで「蛙化現象」と含めるか、あるいは、そのことを蛙化現象の主な意味として呼ぶかどうかなどは、議論が分かれるところでしょう。
あくまでもともと言われていた蛙化現象の本当の意味とは、先に解説したように、「好きだったのに、好かれると嫌いになる」という現象を指します。
それでは、この一見すると理不尽にも見える蛙化現象の背景には、一体どんな心理や原因が隠されているのでしょうか。
蛙化の心理や原因の解説の前に、この名前の由来となっている「グリム童話」に関して紹介したいと思います。
グリム童話『かえるの王様』由来
蛙化現象という一風変わった名前は、一体どういったことに由来するのでしょうか。
この名前は、グリム童話にある『かえるの王様』という物語に由来します。
グリム童話の『かえるの王様』は、『かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ』『かえるの王子(様)』『かえると金のまり』といった名前でも知られ、1812年のグリム童話初版からずっと、巻頭を飾るお話です。
オットー・ウベローデ『Der Froschkönig』 1907年
名前の由来である、この『かえるの王様』という話のあらすじは、以下の通りです。
ある国の王女が、森の泉に、金の鞠を落としてしまいました。
そこへ蛙が通りがかり、「自分を王女様のお友達にしてくれて、隣に座って同じ皿から食事を取って、あなたのベッドで寝かせてくれるのなら、拾ってきてあげよう」と申し出ます。
王女は、条件を飲んで蛙と約束するのですが、蛙が泉から金の鞠を取ってくると、約束を破って蛙を置き去りにし、城に帰っていきます。
城に帰った王女が家族と食事を取っていると、蛙が再び現れ、約束を守るように要求します。
王女から事情を聞いた王さまも、王女に蛙との約束を守るように命じ、その命令に従って、王女は蛙と食事し、その後、泣きながら抵抗するも蛙と一緒に寝るためにベッドに向かいます。
最初、王女は、蛙を寝室の隅に置き、一人で眠ろうとします。
しかし、蛙から、「私をベッドにあげてください、さもなくば王に言います」と抗議を受け、ついに腹を立てた王女は、ののしりながら蛙を壁に叩きつけようとします。
すると、その瞬間、魔法が解け、蛙の姿が王子に変わります。そして、まもなく、王女は、蛙だった王子と婚約することになります。
以上が、『かえるの王様』の簡単なあらすじで、この物語が、蛙化現象という名前の由来となっています。
ただし、由来となったこの童話は、もともと王女にとって嫌いだった存在の蛙が、壁にたたきつけようとした瞬間、王子様に姿を変え、結果として二人は結婚する、という話なので、言ってみれば、「嫌いだったのに好きになる」物語です。
一方、蛙化現象の場合は、「好きだったのに(告白されたり、付き合ったら)嫌いになる」ものなので、元ネタとなっている物語とは、逆の現象と言えるでしょう。
誰が言い出したのか、いつから言われているのか、という蛙化現象の起源に関しては、一説には、跡見学園女子大学教授の藤澤伸介氏の2004年の論文が最初ではないか、という指摘もあります。
はっきりしたことは分かっていませんが、いずれにせよ、日本発祥の言葉であり、概念です。
蛙化現象と英語
そのため、この「蛙化現象」を英語で表現しようと思っても、当てはまる言葉はありません。
先の解説で触れた、「誤用」の場合と近い意味合いで、ちょっとした嫌なことで恋愛感情が冷めることを、英語で、ICKと呼ぶこともあるようです。
ただし、このICKとは、あくまで嫌な部分を見たことによって冷める、といった意味で使われ、本来の蛙化現象の意味である、「告白されることで嫌いになる、好きになられることで相手を気持ち悪く感じる」といったニュアンスはありません。
もしかしたら、いずれは海外でも「frog phenomenon」といった形で広がっていくかもしれませんが、現在のところ、蛙化現象を指す英語はないようです。
TikTokに挙がっていた英会話の動画によれば、蛙化のような言葉は、英語圏で使っている場面を見たことがなく、もし英語で説明するとしたら、以下のような仕方になると言います。
蛙化現象がどういったものか英語で説明する場合、直接的に「好きだった人に好意を向けられたら気持ちが冷める現象」となるようです。
phenomenonは「現象」、die downは、「風や騒ぎがやむ、冷める」といった意味で、feelingには、「感情」や「愛情」といった意味合いがあります。
その他、英語では、蛙化現象と似たような心理状態や指向を意味する言葉に、「リスロマンティック」という用語もあります。
蛙化現象とリスロマンティックの違いとは
蛙化現象に似た海外の表現としては、「リスロマンティック」があります。
ただ、蛙化現象とリスロマンティックでは厳密に見ると違いがあり、リスロマンティックのほうが、より幅広い意味合いを持った概念となっています。
リスロマンティックとは、「相手に恋愛感情を抱くものの、相手から恋愛感情を抱くことを求めない恋愛指向」を意味します。
実際は、もう少し細かく見ると様々な形があり、たとえばリスロマンティックの特徴としては、次のような点が挙げられています。
・恋愛関係になる必要性を感じない。
・恋愛感情を重要なものだと感じることができない。
・恋愛を嫌悪している。互いに愛を表現しあいたいと望む理由がわからない。
・恋愛を恐れている。恋愛恐怖症。恋愛で相手に心を開くことが怖い。
・プラトニックな関係を求めている。
・恋愛感情を一時的に持つにも関わらず、ある段階に達すると消える。
・身体的接触(性的ではないものも含む)が嫌いで、恋愛的な触れ合いをしたくない。
・二次元など非実在のキャラクターが好き。非実在キャラから恋愛感情が返ってくることはなく、非実在キャラへ熱狂している場合は、気持ちを返されること自体を不快に感じることがある。
・恋愛含め、どんな関係性も望んでない。他人と関係を育む、と考えると、不快な気分になる。
・告白されたり、どう思っているの、と言われたら途端に好きではなくなる。
・自分の恋愛感情を誰にも教えず、完全に秘密にしておきたい(告白するのが怖いからではなく、相手に気持ちを返されたくないゆえに)。
・恋愛ではなく、性的に惹かれることの方が先にくる。恋愛のパートナーより肉体的な関係を求めている(あとから恋愛感情が発生することもある)。
最近では、「推し」と呼ばれる、「ファン」と似た用語も一般化していますが、この「推し」に対する感情も、ある種、リスロマンティック的な感覚に近いのかもしれません。
リスロマンティックの分かりやすい解説としては、漫画を用いた記事『リスロマンティックとは? 好きだけど両思いになりたいわけじゃない!』がおすすめです。
数々のリスロマンティックの特徴のうち、「好きだったのに告白されたり好かれると嫌いになる、気持ち悪いと感じる」という部分を特に取り出したものが、「蛙化現象」と定義されている、と言ってもいいかもしれません。
日本では、このリスロマンティックよりも、どちらかと言うと、蛙化現象のほうが注目されている傾向にあるようです。
蛙化現象の曲。
好きだったのに告白されると突然嫌いになる、というのは、一見すると、自分勝手に見えるかもしれません。
急に嫌われる側もたまったものではなく、場合によってはトラウマとして残り、恋愛恐怖症になる人もいるでしょう。
しかし、蛙化現象の心理や葛藤について歌った、たかやんさんの『蛙化現象』という曲を、歌詞と一緒に聴くと、蛙化現象の苦しみも伝わってきます。
歌のなかでは、一般的に言えば「メンヘラ」と称されるかもしれないほど、恋愛にどっぷり浸かって未来に希望を持ちながら、次の瞬間、恐怖感や自己嫌悪に襲われる心情が描写されています。
例えば、“あの頃あなたは王子のようだった 「伝わるといいな」 って私の思いが ずっとアプローチしてたのに なんでだ? 振り向いた途端怖くなってる”や、“近づかないでよマジでキモい もう貴方のことは好きじゃない わかってるよ私は超ウザい ダサい私自身殺したい”といった感情の振れ幅のある激しい歌詞が出てきます。
この曲の歌詞からも、蛙化現象が、冷静に、ある理由で「嫌いになる」といった類のものではなく、「マジでキモい」といった強い拒絶感が湧き、恐怖感や自己嫌悪といった情緒不安定な精神状態に突き動かされている様子が分かるのではないでしょうか。
このたかやんさんの『蛙化現象』の曲は、YouTubeの再生回数が100万回を越え、コメント欄にも、数多くの共感の声が感想として書き込まれています。
題名見た瞬間に飛んできた。。。 この症状誰もわかってくれない。 なんでたかやんこんな事まで歌えるの。 たかやんのおかげで楽になった。 たかやんありがと
*
3年間片思いし続けて、この人しかいないって思ってて やっと付き合えたのに。 自分の蛙化現象のせいで1ヶ月も続かなかった。
*
気になる→好きになる→付き合う→ 拒絶反応起こす→罪悪感で 自分が嫌になる→別れる→ 恋愛向いてないって病む これ毎回永遠ループしてる 普通に恋愛したいだけなのに
もし曲やコメント欄の感想に書かれている心情に共感できるようなら、蛙化現象の要素があると言えるでしょうし、その他、蛙化現象の診断テストとして、「好きな人が気持ち悪い? 蛙化現象診断|マイナビウーマン」や、「蛙化現象タイプ診断チェックリスト|蛙化現象がわかる心理テスト」などもあります。
蛙化現象の原因
それでは、好きだったのに告白されたり好かれると嫌いになる「蛙化現象」の原因として、どういった原因があるのでしょうか。
様々な心理的要因が複雑に関わっているでしょうが、蛙化現象を引き起こすものとして、たとえば、以下のような原因が考えられるでしょう。
原因① 自己肯定感の低さ
蛙化現象の代表的な原因として、しばしば「自己肯定感の低さ」が挙げられます。
自己肯定感が低く、そもそも自分のことが気持ち悪い、嫌いと思っていることから、こんなに気持ち悪い「自分」を好きになるような相手に対しても、重ね合わせるように拒絶反応を抱く、というわけです。
こんなに気持ち悪い自分を好きになるなんて、本当に気色が悪い、という感覚です。
自分で大嫌いな自分のことを、好きな人が好きになってくれるなら、その想いによって自己肯定感が満たされ、むしろ余計に嬉しく思う場合も多いはず。
でも、自己嫌悪が強すぎると、逆に向かってしまうこともあるようです。
これは推しやファンなどで考えると、わかりやすいかもしれません。
自分のことを気持ち悪く、暗い場所の人間だと思っている人にとって、あの人は、遠くで光っている存在だからこそ憧れ、惹かれる。
しかし、その遠い存在が、「私」を好きになったということで、一気に身近なものとして捉えられ、まるで自分自身を否定するように、相手に対する熱も冷める。
この自己肯定感の低さによって生じる、「嫌いな自分を好いてくれる存在」への嫌悪が、蛙化現象に繋がる、ということが考えられます。
原因② 理想の幻滅
蛙化現象に陥る原因として、「理想の幻滅」という要素もあります。
片思いのときや、恋愛経験が少ないと、好きな人や恋人関係というものを過剰に美化し、頭のなかで理想が膨らんでいきます。
ところが、実際は、相手も神さまや王子さまではなく、一人の生身の人間です。
また、恋人として付き合うということは、試練も多く、話し合いや喧嘩もあり、必ずしも、全てが「理想の楽園」というわけではありません。
未熟な者同士が、幸福な時間を過ごし、ときに話し合いも重ねながら、一緒に築いていくということが恋人関係です。
しかし、つい「理想」が膨らみ、最初から完璧な完成品が届く、きらびやかな世界が待っている、と思っていると、「思っていたものと違う」となり、その落差に冷める、ということに繋がります。
こういった理想の幻滅も、蛙化現象の原因の一つと考えられるでしょう。
原因③ 肉体関係の嫌悪
蛙化現象の原因には、「肉体関係の嫌悪」が関わっている場合もあります。
片思いの好きな人というのは、理想や夢の世界の住人であり、この遠い憧れの存在が、恋人となり、肉体関係になる、ということを考えると、一気に生々しく、現実的になり、その肉体関係への拒否反応が、そのまま「嫌い」という感情に向かっていきます。
美しいものは遠くから見ていたい、という感覚自体が、自己肯定感の低さとも相まって、蛙化現象的な心理になる、ということも考えられるでしょう。
原因④ 傷つくことを恐れる
これは「理想の幻滅」に近いかもしれませんが、蛙化現象の原因の一つとして、「傷つくことを恐れる」という要素もあります。
恋愛とは、どうしても夢の世界だけでなく、現実的な側面があり、現実は、「傷つくこと」と切っても切り離せません。
過去の恋愛のトラウマや、あるいは、初めての恋人であれば不安ゆえに臆病となり、傷つくことを恐れ、無意識のうちに、両思いになった途端、心を閉ざしてしまう、ということもあります。
急に嫌いになる「蛙化現象」の原因として、こういった恋愛に対する不安が関係していることもあるでしょう。
男性と女性
性別で言えば、蛙化現象は、男性と女性でどちらのほうが多いのでしょうか。
男女差で見れば、一般的には、女性のほうが多い、と考えられています。
男性でも、確かに好きな人が手に入った瞬間去っていく、関係を結んだ瞬間冷たくなる、といった蛙化現象に見えるような傾向のある人はいるでしょう。
ただ、これは先ほど説明したような、「好きになられたから嫌いになる、相手を生理的に気持ち悪いと感じる」といった特徴を持った「蛙化現象」とは言えません。
また、その点で言えば、蛙化現象というのは、思わせぶりを振りまき、色々な相手との恋を娯楽的に楽しむ「魔性の女」でもありません。
あくまで、蛙化現象には、好きになられることで相手を嫌いになる。
しかも、自己嫌悪などが付随し、恋愛を純粋に楽しむことができない、といった葛藤があります。
基本的には、若い女性に多いでしょうが、もちろん、男性にも一切ないというわけではなく、男女ともに蛙化現象はあるでしょう。
ただ、傾向としては、10代、20代といった若い女性に多いと考えられます。
治し方について考える
本人が、蛙化現象になることを気にしていないのであれば、表立って大きな問題ではないかもしれません。
ただ、自己嫌悪に陥り、苦しい、治したい、と思っているようなら、蛙化現象を克服するための治し方のようなものが必要になってくるでしょう。
基本的に、蛙化現象には、特効薬のような、すぐに改善される治し方というのはありません。
ただ、年齢的に、中学生や高校生といった10代の頃であれば、まだ経験不足であったり、他人の目を気にして劣等感に悩んだり、精神的に不安定になることも多いので、それほど不安に思うことはなく、経験を積みながら、ある程度大人になっていくと自然に収まっていくことも少なくないでしょう。
しかし、もし、大学生や社会人など、もう少し大人になっても蛙化現象があって苦しいという場合には、自分自身でも「治す」という方向に動き出す必要があるかもしれません。
蛙化現象の治し方としては、たとえば、まずは一人でも満足できるような趣味を充実させる、ということが重要となるでしょう。
原因の一つに挙げた「自己肯定感の低さ」というのは、周りとの比較によって湧き上がってしまうものなので、趣味も、そういった「比較」から離れること、たとえば、軽くからでもランニングを始める、といった一人でできる運動などがよいかもしれません。
運動が苦手なら、別のことでも構いませんが、いずれにせよ、自分で自分を満たすことのできる習慣や目標ができると、その達成から、少しずつでも自己肯定感が高まっていったり、他者との比較ばかりに目がいくことからも距離を置くことができるでしょう。
運動だけでなく、食生活を整えるなど、自分磨きにも繋がることであれば、一石二鳥になります。
恋愛に関しては、焦らずに、自分の趣味を充実させたあとでもよいでしょう。
SNSも、ほどほどにすることをおすすめします。
SNSに依存してしまうと、どうしても、あの人は可愛いな、幸せそうだな、それに比べて自分は、という誰かとの比較に日々追われることになるので、インスタやツイッター、TikTokなどは控える、制限する、というのも一つの方法です。
他に、友達関係から恋愛に発展していく形なら、「理想の幻滅」という部分も少なく、もう少し自然と恋人関係に移行できるので、時間をかけて友情関係を築いていく、深めていく、というのもよいかもしれません。
また、恋愛経験を重ねる、というのも大事な解消方法の一つでしょう。
ただ、恋愛経験を重ねると言っても、短いあいだに「付き合っては別れて」を繰り返すのではなく、もし思っていた相手と違うと思っても、いったん立ち止まり、お互いに話し合いを重ねたり、試行錯誤を繰り返したり、といったことを、根気強く行っていくということを心がけるとよいでしょう。
恋愛感情は、複雑で難しく、人それぞれの答えもあるでしょうが、結局は、自分の生き方も含めて試行錯誤していく以外にないのかもしれません。
以上、グリム童話『かえるの王様』由来、好きだったのに告白されると嫌いになる「蛙化現象」の解説でした。