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漫画

3月のライオン〜意味と由来〜

3月のライオン〜意味と由来〜

羽海野チカとは

羽海野チカ『3月のライオン』〈1〉

雑誌『ヤングアニマル』で連載中の羽海野チカさんの漫画『3月のライオン』は、2007年から連載開始。2021年で、単行本は16巻まで発売されています。

羽海野チカさんは、長編デビュー作で美大をテーマにした青春漫画『ハチミツとクローバー(通称ハチクロ)が大ヒットした、日本を代表する漫画家の一人です。

このハチクロは、漫画作品にとどまらず、アニメ化、映画化、ドラマ化も実現しています。

羽海野チカさんは、年齢や本名は非公開で、誕生日は8月30日。羽海野チカというペンネームは、昔描いた読み切り作品『海の近くの遊園地』というタイトルに由来します。

羽海野さんは、遊園地自体、もともと好きだったようです。

ペンネームの最初に「羽」という漢字を持ってきた理由としては、画家のパウル・クレーの代表作でもある『忘れっぽい天使』という絵のコピーに、羽海野さんが鉛筆で海とふわふわの雪の絵を描き足して貼っていた際に、羽と海が似合うと感じたことに由来するそうです。

パウル・クレー『忘れっぽい天使』 1939年

上の絵が、クレーが晩年に集中して描いた天使シリーズの一つ『忘れっぽい天使』です。他にも、『泣いている天使』や『鈴をつけた天使』などがあります。

羽海野チカさんの出身地は、東京都足立区で、都立工芸高等学校のデザイン科に入学し、卒業後は、大学進学ではなくサンリオに就職、キャラクターのデザインをしながら、勤務外で同人活動もします。

その後、独立してフリーでキャラクターデザインなどを手がけながら、コミケに参加するなど、漫画家への夢も諦めずに活動し、あるとき偶然、『CUTiE Comic』へのカット絵の仕事を依頼された際にネームを見せたことから、『ハチミツとクローバー』でのデビューが決まり、初連載となります。

ハチクロの人気は先ほど触れた通り、多くの人々のもとに届く代表作となります。

そして、ハチクロ最終回ののち、羽海野チカさんが長編漫画二作目として描いた作品が、『3月のライオン』です。

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第二作目『3月のライオン』とは

羽海野さんの長編二作目『3月のライオン』とは、家族を幼い頃に失い、15歳でプロ棋士となった桐山れいくんが主人公の将棋漫画です。

ハチクロ同様、『3月のライオン』も、アニメ化や実写映画化がされ、実写版『3月のライオン』では、主人公の桐山零くん役を俳優の神木隆之介さんが演じ、零くんとイメージがぴったりと話題になります。

映画『3月のライオン』予告編①

漫画のタイトルに使われる「3月」と「ライオン」という一見すると関係がないように思える二つの単語。

この『3月のライオン』というタイトルには、一体どんな意味や由来が込められているのでしょうか。

タイトルのきっかけとなったのは、1992年に公開された矢崎仁司監督の実写映画『三月のライオン』のポスターです。

羽海野チカさんは、実写映画『三月のライオン』のポスターに写った、おかっぱ頭の女性がアイスをくわえている写真が印象に残り、そのときにタイトルの「三月のライオン」という言葉も一緒に記憶に残ったと言います。

矢崎仁司『三月のライオン』

この『三月のライオン』とは、イギリスの気候に関する、「3月はライオンのように訪れ、穏やかな子羊のように去る(March comes in like a lion, and goes out like a lamb.)」ということわざに由来します。

このことわざは、春先の3月の初めは、荒々しい天気となり、最後は穏やかに春へと移ろう、という意味です。

映画は観てないんですが、そのポスターが好きだったんですね、すごく。

おかっぱの女の子が食べかけのアイスをくわえているポスターで、その表情がまたすごくよかったんですよ。

それでその映画は観てないんですが、タイトルは頭に残っていて。イギリスのことわざなんですよね、これ。3月はライオンのようにやってきて、子羊のように去る。

物語がつくれそうな言葉だなとずっと思っていたタイトルです。

出典:ダヴィンチ 2008/04月号

羽海野チカさんは、当時この『三月のライオン』という映画を観たことがなく、そのため、映画と漫画に直接の関係はありません。

しかし、この言葉が、一つの印象として残り、物語がつくれそうだ、という風に思っていたそうです。

漫画『3月のライオン』も、タイトルのすぐそばに小さく、サブタイトルとして、「March comes in like a lion」と書かれています。

漢字と数字で違うのは、同名のタイトルを使えないといった事情もあったのかもしれません。

また、もう一つ、『3月のライオン』というタイトルに隠された意味として、これは公式情報ではありませんが、プロの将棋の順位戦(リーグ戦)の最終局が「3月」である、ということが挙げられます。

3月になると、棋士たちは「ライオン」のように燃え上がると、『3月のライオン』の将棋監修を担当する先崎学棋士がコラムで解説しています。

順位戦は六月に始まり、月1局ずつ、三月までかけてやります。三月の最終局に昇給(降級)をかけた棋士は、この漫画のタイトル通り、ライオンになるのです。

出典 : 羽海野チカ『3月のライオン〈2〉』

これが、実際に羽海野チカさんが連載を始める前にタイトルに込めていた意味かどうかは、まだ分かりません。

ハチクロが、物語の結末にその意味が繋がっていったように、もしかしたらラストシーンに向かって、今後なぜ『3月のライオン』なのか、ということも見えてくるのかもしれません。

以上、『3月のライオン』というタイトルの意味と由来でした。