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言葉の意味・由来

もしもしの語源

もしもしの語源

電話で呼びかける「もしもし」の意味と語源

電話の最初に行う挨拶として知られる、「もしもし」という呼びかけは、人生で数え切れないほど使ったことがある日本語の一つでないでしょうか。

もしもしとは、電話などで、相手に呼びかける際に使う用語を意味します。

携帯がない時代だったり、携帯を持っていない子どもの頃は、友だちに連絡する際、自宅の固定電話にかけることも多く、その場合、「もしもし、◯◯(自分の名字)ですけど、●●(友だちの名前)君いますか」と問いかけたと思います。

多くの人は、子どもの頃にどこかのタイミングで、「もしもし」の使い方を教わったのではないでしょうか。

基本的に、電話を受ける側ではなく、電話をかける側が、「もしもし」と言い、名を名乗り、◯◯さんのお宅でしょうか(お電話でしょうか)と話しかけます。

ただし、携帯電話の場合は、受ける側が、「はい、もしもし」と言うことも少なくないでしょう。

この辺りは、時代とともに変化してきた側面もあるのかもしれません。

いずれにしても、冷静になって考えてみると、「もしもし」という呼びかけは、不思議な言葉ではないでしょうか。

一体、どういった意味合いで使われ出したのでしょうか。

この「もしもし」の語源を遡ると、もともとは、「もうし」を連ね、短縮された言葉に由来していたということが分かります。

電話を通して話し始める際に、「これから話をしますよ」という意味合いで、「申し上げます」「申す、申す」「申し、申し」と言っていたのが、転じて、「もしもし」に変わります。

電話が開通された当初は、「もしもし」ではなく、「おいおい」と呼びかけ、「はい、ようござんす」と返答する形だったそうです。

これは、当初電話を持っていたのが、高級官僚や実業家だったので、こういった少し偉そうな挨拶だったのではないかと考えられています。

電話の呼びかけとして、「もしもし」が使われるようになるのは、電話交換業務が始まる1890年(明治23年)以降のことです。

日本語源辞典の「もしもし」の項目によれば、「もし」は「申し」が略されたもので、「もしもし」とは、「申し申し」の詰まったもの、という解説があります。

また、「もしもし」は、明治23年に、電話が日本で使われるようになった際、アメリカに研究に行った加藤木氏が、「ハロー」に代わるものとして考えついたもの、と言われています(参照 : レファレンス協同データベース)。

当初、男が「おいおい」で、女が「もしもし」だったという話もあり、その後、明治35年頃に、「もしもし」に統一されたようです。

順番的には、「申します」が、「申す申す」となり、「もしもし」になったという話もあれば、「申し申し」が縮まったものに由来するという話もあり、この辺りの細かな経緯は定かではありません。

いずれにせよ、「もしもし」という呼びかけは、日本で電話が始まった1890年から、以後10年程度のあいだに統一されていったと考えられます。

ビジネスマナーで「もしもし」はNG

それでは、ビジネスマナーとして「もしもし」を使うことはOKなのでしょうか。

もしもしは、プライベートな電話では構いませんが、ビジネスマナーとしては、基本的にNGとされています。

マナー的に問題とされる理由は、 「もしもし」が、「もの申す」の「申す、申す」が語源あるという説から、「上から目線」のような印象を与えかねないので、基本ビジネスの場では使わないようにする、ということが言われています。

ただし、電話の途中で、電話が切れたかもしれない際の確認のために、「あの、もしもし」と尋ねるといった程度は、許容範囲と言えるかもしれません。

とは言え、先ほどの理由の通り、上から目線の印象を与える可能性があるので、なるべく控えたほうがよいでしょう。

もしもしを使ったから、即座にマナー違反や失礼に当たる、というわけではないものの、様々な年代の方もいる以上、ビジネスシーンでは、(相手が後輩の場合も含めて)使わないほうが無難と言えるかもしれません。

それでは、「もしもし」の代わりとして、ビジネスの世界の電話応対では、どういった言葉を使えばよいでしょうか。

①電話に出る際 →「はい(お電話ありがとうございます)。〇〇会社でございます」

②電話をかける際 →「わたくし、〇〇会社の〇〇と申します。いつもお世話になっております。」

③電話を取り次いでもらった際 →「お待たせいたしました。〇〇です」

④切れたか、電波の確認も含めて →「申し訳ございません。恐れ入りますがお電話が遠いようですので、もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか。」

以上のように、ビジネスの世界では、もしもしを使うことは控え、マナーに則った表現を心がけるとよいでしょう。

英語で「もしもし」

ちなみに、日本では「もしもし」と呼びかけますが、海外では、どういった表現を使っているのでしょうか。

もしもしの語源の部分で少し触れたように、英語圏のアメリカでは、電話に出た際、「ハロー」と言い、韓国の場合、電話の第一声は「ヨボセヨ」と言うそうです。こちらも、「もしもし」の意味となります。

中国語で「もしもし」は、呼びかける際に使う「ウェイ」となります。

その他、海外の「もしもし」一覧は、以下の通りです(参照 : 【豆知識】なぜ「もしもし」っていうの?世界の「もしもし」を調べてみた)。

* タイ・・・ハ(ン)ロー
* フィリピン・・・ハロー
* インドネシア・・・ハロ
* ロシア・・・アロー、アリョー
* トルコ・・・アロー
* アラビア・・・アロー
* ポーランド・・・ハロー
* フランス・・・アロ
* ドイツ・・・ハロ(-)
* イタリア・・・プロント(準備ができたの意)
* スペイン・・・オラ、オイガ(挨拶に使う言葉と一緒)
* ブラジル・・・アロー

こうして見ると、多くの国で、「ハロー」に由来する表現が、「もしもし」として使われているようです。

海外で、ハローに近い表現も多く見られる理由としては、電話がアメリカで発明され、広がったことから、「ハロー」も一緒に伝わったのではないか、という指摘もあります。

以上、電話の「もしもし」の意味や語源でした。