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言葉の意味・由来

ひよるとは〜意味や語源、言い換え表現〜

ひよるとは〜意味や語源、言い換え表現〜

ひよるの意味

主に若者のあいだなどで使われている言葉に、「ひよる」という表現があります。

いざ決断しようとして直前で躊躇ちゅうちょするような態度に対し、「ひよってるの?」と挑発や嘲笑混じりに言われることも多く、この場合、言い換えとしては、「ビビる」という表現が近いかもしれません。

ただ、「ひよる」という言葉の捉え方には違いが見られ、新聞社の校閲のアンケート調査によれば、「ひよる」の意味に該当するものとして、「①怖がる・おじけ付く」「②有利な方につこうと形勢をうかがう」「③傍観する」「④その他、わからない」のうち、もっとも多かったのは、②「怖がる、おじけ付く」であり、③を選んだ人も決して少なくはありません。

意味の捉え方に違いが見られますが、それでは、「ひよる」の正しい意味とは、どういったものになるのでしょうか。

まず、「ひよる」は、漢字で書くと「日和る」となり、語源は「日和ひより」の動詞化した言葉です。

辞書的に言えば、「ひよる」の意味は、日和見的な態度をとる。また、一般に、物事に積極的に関わろうとしないで傍観する。(コトバンク)です。

この「日和見ひよりみ的な」という表現が、そもそも分からない人もいるかもしれませんが、日和見とは、主に以下の二つの意味があります。

日和見とは

①天候の状態を観測すること。また、その人。

②周囲の形勢をうかがい、自分の態度を積極的に決定しないこと。事のなりゆきによって去就を決めようとすること。

日和見に関連し、「日和見主義」という言葉もあります。日和見主義とは、自分の定まった考えが行動の指針になっているのではなく、その都度、自分にとって都合がよかったり、形勢を見て有利な方につく考え方のことを意味します。

自分のしっかりした信念などはなく、あっちに行ったり、こっちに行ったり、そのときの状況で、ころころと主義主張を変えるような考え方であり、日和見主義は、基本的には、悪い意味で使われることが多いでしょう。

この日和見や日和見主義の意味から考えると、「日和る」とは、「怖がる、おじけ付く」というよりは、自分の軸がなく、形勢を見ながら立ち居振る舞いを決める、どっちつかずの態度を取る、態度を表明しないで傍観する、という先のアンケートで言えば、②や③の意味合いが、もともとの意味と言えるかもしれません。

ただ、「ひよる」という「ひ弱」と近い響きもあってか、現代では、「怖がる」「ビビる」といったニュアンスが主流となっています(現代の「ひよる」は、「ひ弱になる」が転じて使われている、という説もあるようですが、その真相は定かではありません)。

ひよるはいつから使われ出したか

この「ひよる」という表現は、冒頭、「若者のあいだで使われている」と書きましたが、それでは、一体いつから使われていたのでしょうか。

最近の若者言葉と思いきや、実は「ひよる」の歴史は意外と古く、その由来は、1960年代の学生運動に遡ります。

このことが尾を引いて後々まで続く中核派と革マル派の確執と、血で血を洗う陰惨な内ゲバヘとエスカレートしてゆくのだ。当時学生たちの間で流行った過激派のセクト用語に「日和ひよる」というのがあった。

出典 : 佐々淳行『東大落城 安田講堂攻防七十二時間』

ひよるの語源は、もともと「日和見主義」にあり、学生運動が背景にあった言葉で、当時は、自分の意見を主張せずに傍観する日和見主義的な態度のことを指していたようです。

言ってみれば、半世紀近く前の若者言葉が、そのまま定着し、今は派生して「怖がる」「弱腰になる」というちょっと意味が変化し、現代の「若者言葉」になっている、と言えるかもしれません。

ひよるの言い換え

ひよるを、別の言葉で言い換える場合、類語としては、どういった言葉が考えられるでしょうか。

これまでも触れたように、ひよるが、「怖がる」という意味合いであれば、「怖がる」以外に、「ビビる」「物怖じする」「不安がる」「たじろぐ」「怯える」「尻込みする」「ためらう」「気圧けおされる」といった言葉が類語として挙げられるでしょう。

あるいは、「チキる」という若者言葉も、似たような意味で使われます。「チキる」とは、チキン(臆病者)になることを指し、その略語で、「チキる」と言います。

また、日和見主義的な意味合いで使う場合の類語としては、「ご都合主義」「長いものに巻かれる」「勝ち馬に乗る」「風見鶏かざみどり」「優柔不断」などがあります。

ただ、基本的に、現代の若者言葉ないしは広く一般に使われている言葉としての「ひよる」は、「怖がる」というニュアンスで使われることが多いのではないでしょうか。

以上、「ひよる」の意味や語源、言い換え表現の解説でした。